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私立月見里学園高等部
C
「何て素晴らしい笑顔なんだ!ますます君に惚れてしまいそうだよ!だからまだNOの答えは出さないでくれないかい?考えてみればまだ俺のことを知ってもらっていないのに、返事を貰うなんておかしいんだよ。うん、それがいい。まずはお友達からというので」

 うーん・・・何だかはぐらかされたような気がするが、別に友達なら大歓迎だ。

学校に来て初めて出来る友達が先輩っていうのも不思議な気分だが。

「あ、それなら」

「おお!本当かい!?そうと決まれば早く部屋に向かおうじゃないか!君の部屋で心行くまで語り合おう!」

 掴まれた手をそのまま引かれて、さっきまでいた中庭の見える廊下の更に奥へと引き摺られてしまう。

コンパスの長い先輩に半ば小走りで連れられたそこにはエレベーターがあり、さっき見た玄関ホール正面にあったそれとは違い、その扉は白に塗られていた。

「君はA棟の201号室だろう?さっきまでいたのは一般寮でね、Aクラスの生徒は特別なのだよ」

「はあ、そうなんですか」

 何か知らないが特別らしい。

俺の気のない返事に先輩は笑って、エレベーターのボタンを押してくれる。

そこで、さっき俺の部屋に行って話すみたいなことを言っていたのを思い出し、俺は慌てて声を上げた。

「あの、先輩。俺今から部屋の片付けとか猫の世話とかしないといけないので、部屋に遊びに来てもらうのは今度でもいいですか?」

 よし、今度はペースに巻き込まれる前にちゃんと言えた。

そのことに満足していると、先輩からは不満そうな声が上がる。

「え、そうなのかい?・・・でもそれなら仕方ないね。今度はその猫にも会わせてくれるかな?」

しかし、基本的にスマートらしい先輩はすぐに引いてくれて、首を傾げてそう尋ねられた。

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