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私立月見里学園高等部
俺達の・・・(イチニ)[2010年双子誕]
「う゛ー・・・ねむ」

 正月を迎えて、次の日の朝。

いや、

「12時・・・って寝過ぎだろ」

もう昼だ。

『ククククク・・・・・・ごほん、失礼致しました。では、新名様。ご支度が整いましたら、伊近様を連れてダイニングルームまでおいで下さい。食事の用意が整っておりますので』

 掴んだままだった内線の受話器越しに優羽さんのくぐもったような笑い声が聞こえて、罰の悪い気持ちになるが、仕方ないだろう?

昨日は新年会で、内輪だけとは名ばかりの大所帯の集まりで、俺達双子も時間が変わる頃まで付き合わされたのだから。普段、23時までには寝ている俺としては堪ったもんじゃねぇ。

長期休暇で実家にいるときだって遅くても9時には起きているというのに・・・これは初モーニングコールというやつだ。

「わざわざありがとう、優羽さん」

『いえ、それではお待ちしております』

申し訳ない気持ちになりつつ、きっと受話器の向こう側でも綺麗なお辞儀をしているんであろう優羽さんを思い浮かべ、俺は受話器を置くやいなや、慌てて支度にとりかかった。



「眠い〜・・・新名ぁ〜!もう今日はずっとごろごろしてようぜ〜?なぁ?」

「ナァー」

 同じく寝坊助のニイチと伊近を纏わリつかせて、早足で向かうのはダイニング。

休みなんだから。とスウェットのまま部屋をでようとした伊近の着替えを手伝い、寝癖まで直してやったもんだから思いの外時間がかかってしまったのだ。

「煩い。正月はダラダラするためのもんじゃない」

「でも〜折角の休みだし。それに・・・今日が何の日か忘れたわけじゃねぇだろ?新名」

 早足が功を奏したのか、無駄に広い屋敷にしては好タイムで辿り着いたというのに・・・この期に及んでこのバカ兄は何がしたい。

あとはこの扉を開けるだけ、なのにだ。

そういうことは後にしろ、と。顔を寄せてきた伊近を押し返えそうとするが、それさえも双子の以心伝心なのか。

ひょいっとタイミングよく躱したコイツはその突き出した俺の手を引き寄せ、気付けばさっきよりも距離が近付いている始末。

「コラ・・・伊近」

「だって。今日はさ、俺達の・・・」

 吐息が触れ合う距離に、自然と声が甘くなってしまうのは仕方ないと言いたい。

その先だって、言わなくたって分かってんだよ。バカ。

忘れるわけがない。今日は、俺達の・・・

「「「お誕生日おめでと〜!!」」」

―――パ…パン!パン!

―――ボンッ!シュワ〜…

「「へ?」」

その、誕生日だ!が・・・何が起こった!?

 見れば俺達の目の前の扉は開け放たれていて、さして狭くもないダイニングルームには見知った顔が大集合で、ぽかんとした顔で俺達のことを見つめている。

もちろんクラッカーらしき紙テープを頭に引っ掛けて抱き合っている俺達もぽかんとしてしまったわけで・・・。

「失礼致しました!」

1番最初に我に返ったらしい。優羽さんが咄嗟に扉を閉めてくれたのだが、事態が変わる筈もなく。

「月見里ぃいい!出てこい、ゴルァアアア!」

「ちょっ、ハニー!?今のは俺の見間違いだよね!?」

「黒崎様!相澤様!お止め下さ・・・っ、ちょ陸川様!?ってどこ触ってんだクソガキィイ・・・!」

「執事さん、いいお尻してるねえ」

 ダンダンダン!とドアを叩く無数の音と、叫び声。それからそれを制止する優羽さんの・・・優羽さん、すまん。

大変申し訳ないが俺達は・・・。

「「もう1回入る気になんねぇな」」

と、部屋でごろごろするために扉へと背を向けたのだった。


fin?

(もちろんほとぼりが冷めた頃を見計らって、もう一度入ったに決まってるだろ!・・・はぁ)

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* あとがき *

遅ればせながら双子誕生日祝いができてよかったです!!!
ε-(;ーωーA フゥ…
1年越しにようやくできました・・・ホントよかった。
昨年はサイト全体を通してあまり更新ができなかったので、今年はもうちょっとスピードを上げたいです・・・うん。
とか言いつつ今にも挫けそうですが、志は高くということで!!!
本年も月見里の双子ちゃんをどうぞよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ

→1月誕生日記念イラストはこちら←

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