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私立月見里学園高等部
もしもシリーズ:智希×新名編[1周年]
Q.もしも智希と新名が付き合ったら?


「もしかして・・・これ、全部?」

 味見してくれという名目で呼び出されて、ちょうどおやつの3時に隣の201号室へと向かった俺は共有スペースに通された瞬間、目の前に広がった光景に思わず目を瞬いてしまった。

決して小さくはないテーブルに所狭しと並べられたのは、クッキーにチョコレート、マドレーヌにフィナンシェにそれからパウンドケーキ。

誰の誕生日?っていう感じの大きな生クリームのデコレーションケーキに、シフォンケーキ。それから俺が名前の知らないお菓子まで・・・それこそ洋菓子ばかりだが相当な数だ。

 余りの量の多さに何よりもまず圧倒されてしまって、無意識に口から出たのはそんな台詞。

そんな俺に何とも言えない表情で眉間に皺を寄せた新名に、“しまった”と思うが口から出てしまった言葉は引っ込めることが出来ない。

もう少し気の聞いた台詞の1つや2つ・・・それこそ“美味そう!”とか“こんなにいっぱい食べていいの?”なんていう簡単な言葉でもよかったはずなのにさ。

「・・・作りすぎただけだ。別に全部食わなくてもいい」

 そんな、どこか悲しそうな顔・・・いや実際はさっきよりも更に眉間に皺が寄ってるんだけど・・・をさせてしまうなんて俺って彼氏失格!

ここで格好よく新名を慰める台詞でも出ればいいんだけど、生憎何を言っても言い訳っぽい。

「ん!?これって紅茶のクッキー?ん、む、・・・甘さ控えめだからいくらでも食べちゃいそう」

だったら態度でとばかりにテーブルについた俺は、大量のお菓子の1つに手を伸ばした。

 綺麗なきつね色に焼けたクッキーは丸いシンプルな形で、でもそのほっとするような甘さに自然と頬が綻んでくる。

味見なんて言ってたけど、きっと俺が新名の作るお菓子が好きだからってこんなにも張り切って作ってくれたんだろう。

ありがとうという気持ちを込めて満面の笑みで立ったままの新名を見上げれば、“仕方ないな”とどこか呆れたような表情で、でももう眉間に皺は寄っていなかった。

「やっぱ新名のお菓子はどれも美味しいなぁ・・・俺、このチョコレートのケーキが1番好き。ほら新名も一緒に食べよう?」

 いくら俺が新名の作ったお菓子に目がないといっても流石に全部を食べるのは無理で、全種類を少しずつ食べて半分くらいまでいったところ。

作った本人の新名といえばそんな俺の姿を見ているだけで、一向に食べる気配はない。

こんなに美味いんだから新名も食べればいいのに。と、その中でも1番気に入ったチョコレートケーキから視線を上げればそこには何故かまた眉間にいっぱい皺を寄せた新名の顔が。

「ひぃ!に、新名?ほ、ほら一緒に食べよう、な?」

「・・・いらねぇ」

「え?」

「智希が・・・。智希が俺より好きなケーキなんて食わねぇ」

「・・・」

 何がそんなに気に食わなかったんだろうかと思えばなるほどそんな理由・・・って。

「えぇ!?に、新名!?」

「それ没収。もうぜってぇ作んねぇ」

に、新名さん????

 ひょいと俺の前から皿ごとそのケーキを奪ってしまった新名は、自分で作ったというのに親の敵でも見るような目でそれを睨みつけていて・・・この場合俺は喜んでいいの?

新名の意外すぎる一面に、でもそれはそれで可愛いかななんて思ってる俺は相当新名にやれれてるらしい。


A.甘い!でもきっとプラトニック・・・。(希望)

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あきゅろす。
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