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私立月見里学園高等部
もしもシリーズ:双子編[1周年]
Q.もしも伊近と新名が年の違う兄弟だったら?
【設定】兄:新名 弟:伊近


「これ、アンタの弟」と言って紹介されたのは、小生意気な1つ年下のとんだ我が儘お坊ちゃまだった。



 両親の復縁で突然できた実の弟。名前は伊近。

俺が長男なのに“ニイナ”というのは両親の気紛れだろうから、この際どうでもいい。

でも。

「オイ、新名。それ片付けとけよ」

兄貴である俺を呼び捨てとは…いや、呼び方は大した問題じゃねぇな。

問題はこの扱い。俺はお前の召使か…!?

「…伊近、お前なぁ」

「い・ち・か・さ・ま。俺のことは伊近様って呼べっつってんだろ」

 しかも自分のことは“様”付けで呼べだと?

コイツ、中学生の分際で生意気な。いや、中学生とかいう問題じゃなく、どういう性格してんだコイツは。

なんつー育て方すりゃこんな不遜な奴になるんだよ…。全く。やってらんねぇ。

「俺はお前のこと、弟だとは認めねぇ」

「は?俺だってお前のこと兄貴だなんて鼻から認めてねぇよ。バカバカしい。ったくあのバカ親父今頃になって復縁なんて…月見里グループの跡取りは1人で十分だ」

 こんな奴には関わらない方がいいと、早々に見切りをつけたところで伊近の台詞に首を傾げる。

「俺は月見里グループの跡取りになるつもりはこれっぽっちもないがな」

「へ?」

まさかコイツ…。

「俺が跡取りの座を脅かそうとしてるのかと思ったのか?そんなもの興味ネェよ。それこそバカバカしい」

本当、子供だ。

「嘘…天下の月見里グループだぜ?それをバカバカしい?」

「お前がどういった教育を受けてるかは知らないが、俺は跡取りだのなんだのどーでもいい。自分の道は自分で決める」

「ハハ…、嘘、だろ?信じられねぇ…今まで月見里の名前を聞いて靡かない奴なんていなかったのに…」

 信じられなくてもここにその代表がいる。

家柄なんて個人には関係のないことだろう?

全くコイツはどういう環境で生きてきたのか…。まあ、それは俺の知ったこっちゃないな。

「そういう訳で俺は金輪際お前に関わることもないだ…

「…させねぇ」

…は?」

「俺が気に入ったんだ。だから関係ないなんて言わせねぇよ、…お兄ちゃん?」

 これで清々すると、お前とは他人だとケジメをつけようとしたその瞬間。

初めて呼ばれた“お兄ちゃん”という言葉は、俺のこれからの運命を物語るように酷く愉しそうな声色だった。


A.傲慢俺様×男前クールで、なんだかとってもダークな予感。

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あきゅろす。
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