私立月見里学園高等部
もしもシリーズ:双子編[1周年]
Q.もしも伊近と新名が年の違う兄弟だったら?
【設定】兄:新名 弟:伊近
「これ、アンタの弟」と言って紹介されたのは、小生意気な1つ年下のとんだ我が儘お坊ちゃまだった。
◇
両親の復縁で突然できた実の弟。名前は伊近。
俺が長男なのに“ニイナ”というのは両親の気紛れだろうから、この際どうでもいい。
でも。
「オイ、新名。それ片付けとけよ」
兄貴である俺を呼び捨てとは…いや、呼び方は大した問題じゃねぇな。
問題はこの扱い。俺はお前の召使か…!?
「…伊近、お前なぁ」
「い・ち・か・さ・ま。俺のことは伊近様って呼べっつってんだろ」
しかも自分のことは“様”付けで呼べだと?
コイツ、中学生の分際で生意気な。いや、中学生とかいう問題じゃなく、どういう性格してんだコイツは。
なんつー育て方すりゃこんな不遜な奴になるんだよ…。全く。やってらんねぇ。
「俺はお前のこと、弟だとは認めねぇ」
「は?俺だってお前のこと兄貴だなんて鼻から認めてねぇよ。バカバカしい。ったくあのバカ親父今頃になって復縁なんて…月見里グループの跡取りは1人で十分だ」
こんな奴には関わらない方がいいと、早々に見切りをつけたところで伊近の台詞に首を傾げる。
「俺は月見里グループの跡取りになるつもりはこれっぽっちもないがな」
「へ?」
まさかコイツ…。
「俺が跡取りの座を脅かそうとしてるのかと思ったのか?そんなもの興味ネェよ。それこそバカバカしい」
本当、子供だ。
「嘘…天下の月見里グループだぜ?それをバカバカしい?」
「お前がどういった教育を受けてるかは知らないが、俺は跡取りだのなんだのどーでもいい。自分の道は自分で決める」
「ハハ…、嘘、だろ?信じられねぇ…今まで月見里の名前を聞いて靡かない奴なんていなかったのに…」
信じられなくてもここにその代表がいる。
家柄なんて個人には関係のないことだろう?
全くコイツはどういう環境で生きてきたのか…。まあ、それは俺の知ったこっちゃないな。
「そういう訳で俺は金輪際お前に関わることもないだ…
「…させねぇ」
…は?」
「俺が気に入ったんだ。だから関係ないなんて言わせねぇよ、…お兄ちゃん?」
これで清々すると、お前とは他人だとケジメをつけようとしたその瞬間。
初めて呼ばれた“お兄ちゃん”という言葉は、俺のこれからの運命を物語るように酷く愉しそうな声色だった。
A.傲慢俺様×男前クールで、なんだかとってもダークな予感。
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