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私立月見里学園高等部
1つ足りないもの
「「空!」」

 纏めて俺と智希に抱きついてきた空に2人して怒鳴れば、当の本人は「きゃー!」なんて楽しそうだ。

「朝から新名くんと智くんのドアップなんて、僕ビンビンだよ、たまんな〜いっ!」

って本当コイツは・・・。

「でもー、親衛隊のせいで外じゃあんまくっつけないでしょー?ま、別に返り討ちにしてやるからいいんだけどさ。僕、可愛い子って攻めるの好きじゃないし〜」

「はぁ・・・空、あのさぁ」

「ん?大丈夫だよ!僕、智くんのことなら喜んでフルコース可愛がってあげるか・ら♪」

マイペースっていうか、なんていうか。

「ひぃいいっ!お前の場合本気だからタチ悪い・・・って尻触るな〜っ!」

「んー♪さ・す・が鍛えてる人のお尻はひと味違うー。この適度に付いた引き締まった筋肉…!あーん!たまなーいっ」

 空から逃げるように俺に抱きついてくる智希、その尻に頬擦りをし始める空。

これはいつものクラスの光景で、でも1つだけ足りない。

「う、お!?・・・へぇ、俺がちょっといない間に楽しそうなことになってんじゃねーか」

それからどこかに行っていたらしい黒崎が俺の肩に手を乗せ、顔を覗かせてきて。

「あ、永久くんおっはよー!今日は誰と遊んできたの?そんな元気があるなら今から僕と一発・・・ヤる?」

「ばっ・・・!お前みてぇに脳味噌まで下半身でできてねーっつーの」

「なに、なに?って、ああ!にーな久し振り〜?もう大丈夫なのか?」

「おはよーさん。なんや、朝から賑やかやなぁ思たら新名ちゃんやん。もう、元気なった?」

「新名、おはよう。元気そうでよかった」

今登校してきたらしいカズと秦名と渡辺が寄ってきて、でも。

「月見里は今日も休みなんだな」

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