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私立月見里学園高等部
智希の考え
 その手紙の文面の数々を思い出しげっそりしている俺の横から、智希が次々と紙袋へ色とりどりの封筒を仕舞っていく。

「新名、驚くのはまだ早いって。多分机の中とかロッカーとかも同じことになってるだろうからさぁ」

「鍵、ついてんのに・・・」

そう、この靴箱だって暗証番号がついてるものだし、流石に机には何のセキュリティもないがロッカーだって然りなのだ。

「んー?ああ、それってあんまり意味ないんだよね。4桁の暗証番号なんて順番に入れてけば時間さえあればどーにかなるじゃん」

という智希の言葉に愕然とする。

部屋やら生徒会室のやらのセキュリティは凝ってるくせにそこは適当なのかよ、この学校。って理事長はうちの父さんじゃねぇか。

「最悪上履きとかロッカーのもの盗られたりするからさ、ちゃーんと新名の上履きは俺んとこに移動しといたよ」

「まあ、今度からは俺みたいに自分で持ち歩いとけ」

 もう本当この学校って・・・と衝撃の事実の連発に愕然としながら、黒崎のちょっと遅いようなアドバイスに頷いてみせる。

ロッカーや机の中には幸い荷物は置いてなかったが、金持ち学校のくせに人のもの盗るってどーいうことだよ。

「今、新名が考えてること大体分かるけどさ。まあ、色々と使い道はあるんだよ。好きな人のものだからねー」

俺も新名のもの何か欲しい〜っと冗談・・・冗談だよな?で言ってくる智希に、じゃあなんでお前の靴箱は大丈夫なんだ?と疑問に思うのは俺だけじゃない筈だ。

確か智希にも親衛隊っつーものがあるはずで。

「まあ、俺はね。色々根回ししてるから」

と笑う智希の顔は何だかちょっと怖かった。

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