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私立月見里学園高等部
A
 明るくなった雰囲気は一転、俺の台詞で重いものになってしまったが聞かずにはいられない。

約15年間伊近が・・・自分の片割れともいえる伊近とバラバラに暮らしていたというのに、ほんの1日にも満たない時間一緒にいなかっただけで不安になるのはどうしてなんだろうか。

これこそが俺を悩ましていることの答えなんだろうが、生憎それにはまだ辿り着いていない。

昨日のことも含め、分からないことだらけだ。

でも、とりあえず今智希に伊近のことを聞かないといけない気がした。

「別にあんな奴のことどーでも・・・

「それがさ、伊近の奴どこにいるのか分からないんだ」

・・・チッ」

 中々口を開こうとしない智希の代わりに黒崎がそう言いかけて、でもそれを遮るように告げられた答えは俺を誤摩化すものだろうか。

そんなものいらないと、切り替えそうとして、ぶつかった智希の目は到底嘘を吐いているものではなかった。

「本当・・・なのか?」

 我ながら情けない声が出たと思う。

そんな俺の問いかけに智希は珍しく困ったような笑顔で頷いて、俺に抱きついたままコテンと肩に頭を乗せてくる。

「ゴメンな、俺あれから伊近のこと追いかけたんだけど・・・撒かれて、それからどこ行ったか分からないんだ」

そのままゴメンと何度も謝る智希の声は本当に辛そうで、しかし混乱している俺にはただその柔らかな紅茶色の髪を撫でてやることしか出来ない。

だってそれ・・・俺が原因ってことだろ?

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