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私立月見里学園高等部
伊近の行方
「まあ光の言葉じゃないけど。出来ちゃったもんはもう仕方ないから、とりあえず新名や俺達が快適に学校生活送れるように頑張ろう?」

 落ち込んでいる俺を励ますように智希がそう言ってくれるが、お前何気に酷いよな。

俺達だけって・・・聞いた話によれば親衛隊ってやつは俺が誰かと喋っただけでもその相手をどーのこうのするらしいじゃねぇか。

もしかして今のこの状態もやばいんじゃ・・・。

「って、お前が言うな。元はと言えばお前が新名のこと止めねぇから、公認なんつーめんどいもんが出来ちまったんだろうが・・・。まだ勝手に出来たもんなら潰すにしても楽だがよ、公認の面倒臭さはお前なら良く知ってんだろ?」

 はっとしたように両手で自分の口を塞ぐ俺に首を傾げながら、何か考えてるようでやっぱりお気楽な智希に黒崎はジト目を向ける。

そうだ、こうなるって知ってるならあの時止めてくれよ!と口に出さないまま智希に責任転嫁をしてみるが、まあ結局のところ悪いのは俺だよな。

「分かってる。俺だって新名とずっと一緒にいたいし、これまでに築いた今のポジションを最大限に生かすつもりだから」

「・・・分かってんならいいけどな。新名に何かあったら只で済むと思うな」

「その言葉、そっくりそのまま黒崎に返すよ。今はどうにか自分の親衛隊抑えられてるみたいけどさ、結局のところ伊近が睨み効かせてたのは知ってるんだろ?」

そんな俺を置いてなぜだか突然雲行きの悪くなった2人にどっちみち何の口出しも出来ずに、しかし途中出た伊近の名前に弾けるように智希を見つめた。

「伊、近が?・・・なあ、智希。伊近、今どうしてんだ?昨日、あれからどうなった?」

 俺の問いかけに当の智希はバツの悪そうな顔をして、黒崎も咎めるような目を向けている。

目が覚めて2人しかいないことに気になったが、もしかして最初からわざと伊近を連れてこないようにしていたんだろうか。

多分俺を気遣ってくれてのことだと思うし、俺自身どうやって接すればいいのか分からないと思ったばっかりだ。

だけどどうしてやっぱり会いたいと思ってしまうのは何でなんだろう。

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