私立月見里学園高等部
A
手紙をまとめた表紙はちゃんと色画用紙で作ってあって、しかも全てをきちんとリボンで纏めてあって立派なもんだ。
そこには俺の似顔絵?らしきものや色んな絵が色とりどりに書かれている。
そして極めつけはさっき思わず口に出してしまった“新名くん早く元気になってね!”の文字。
「で、あとこれも」
気恥ずかしい気持ちでそれをパラパラ捲っていると、どーんとベッドに体を起こしただけの膝の上に何やら重みが。
今度は何だ?もう何が来ても驚かねぇぞ俺は・・・。
「堀田。てめ、んなもんまで持ってきやがったのかよ」
「だって、新名宛のだから俺が勝手にどうこうできねぇじゃん」
見ればやたらデカイ紙袋にぎゅうぎゅう詰まった・・・また手紙か?
「これもまたクラスの奴からか?」
女子が好みそうな可愛い封筒に、白のなんの変哲もないシンプルな封筒。
それを手に取って差出人を見れば全く知らない名前ばかりで、中には丁寧に学年とクラスまで書いてあるが知らないもんは知らねぇぞ。
「新名、んなもん見ねぇで捨てちまえ」
誰だろ?と手紙を手に取ってまじまじと見ていれば黒崎からそんな声が掛かる。
いや、でも手紙って微妙に捨て難くないか?
しかも見る前に捨てるって・・・。
「「それは非常識だろ(酷くねぇ!?)」」
智希と声も内容もほぼ被ってしまったが、確かにその通りなんだから仕方ない。
なあ?と顔を見合わせてくる智希に頷いて、非常識な黒崎に目を向けた。
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