私立月見里学園高等部
たくさんの手紙
「・・・あ!すっかり忘れるとこだった」
そんな何となくこのこっぱずかしい雰囲気を変えるように声を上げたのは、やはり空気の読める男。智希だった。
いつもの人懐っこい笑みを浮かべながら「ハイ!」と手渡されたのはやたら分厚い書類、か?
場を仕切り直してくれたことに感謝しつつ、その1日休んでいたにしては分厚いプリントの束に首を傾げた。
「智希、これ・・・」
「あ、新名それ渡す向き逆だった!ごめんーっ」
何だ?と聞く前にそれを引ったくられてしまい、「ハイ!」と改めて手渡されたやっぱり分厚いプリントの束。
向きが逆?と今度はちゃんとした向きだったらしいそれに視線を落とせば、
「“新名くん早く元気になってね!”・・・?」
・・・これはまさか。
「新名が今日休みだっつったら皆が手紙書こう〜!ってことになっちゃって」
「アイツらガキだからな」
「って、黒崎!お前だって書いてたくせによく言うなぁ」
小学生のときに1度だけ書いたことのある、骨折かなんかで入院したクラスメイトに宛てて書いた手紙。
まさかそれを1日休んだだけで貰うことになるとは思ってもいなかったので、ありがたいっちゃありがたいが、その。
大袈裟じゃねぇか?と思うわけだ。
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