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私立月見里学園高等部
D
 ブーブーと文句を垂れる黒崎に「お前が休むなら俺は学校へ行く」という交換条件を持ちかけ、どうにか渋る奴を学校へと送り出したのは始業開始の10分前だった。

なんだかそのことで疲れてしまった俺はベッドに手足を投げ出し、なんともだらしがない。

黒崎がいなくなり、ニイチと俺だけの部屋はなんだかとても静かに感じて、溜息がやけに大きく聞こえた。

「・・・とりえあえず風呂にでも入って着替えるか」

 俺の独り言にも返事があるわけがなく、ただニイチが「ニャーン」と分かっているのか分かっていないのか鳴くだけだ。

ベッドから降り、黒崎が指摘したとおりまだふらふらする足に、自分では気付いていなくても疲れてるという事実を突きつけられた俺はなんだかがっくりしてしまう。

これはアレだよな、精神的に疲れてるっていう・・・。

 俺はそんななよっちぃ奴じゃないはずだ。

そう自分に言い聞かせ、しかしシャワーを浴びてスウェットに着替えたところで物凄く疲れた。

「だらしねぇ・・・」

 濡れた髪のままベッドに突っ伏し、タオルでそれをガシガシと掻き混ぜる。

風呂の中で再び昨日のことについて思い返してみてもやっぱり浮かぶのは伊近の顔で、会ってどんな顔をしていいのか分からない反面、物凄く会いたいような変な感覚だ。

「だあああああああっ」

しかしやっぱり何度考えてもよく分からないと、考えを放棄してはまた考えるを繰り返している俺は知恵熱でもでそうな勢いで脳味噌をフル稼働している。

 再会してから今までずっと一緒にいるのが当たり前で、そんな考えに至ったことなんてなかったのだから本当に訳が分からない。

何もなかったような顔すればまた元のような関係に戻れるのだろうか。

しかし、自分のこのもやもやした気持ちが分からないままではそれは元の通りとはいえない。

それに伊近の気持ちも分からないままだ。双子だというのにこんなときは分からないのか。

 やっぱり自分の気持ちには自分で答えを出さなければずっとこのままだ、そう思うのだが、思えば思うほど分からなくて、余計に焦れてしまうからずっと悪循環を繰り返している。

伊近は知ってるんだろうか・・・この感情の答えを。

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