私立月見里学園高等部
C
「お、怒ってるか?」
ビクビクと俺よりデカイ図体のくせに小動物のようにビクつく黒崎に、俺は慌てて首を左右に振る。
怒っているどころかむしろこっちが謝らないといけないくらいだ。
黒崎が親切でやってくれたことを疑ってしまうなんて、俺はなんて友達思いの無い奴なんだ・・・!
「いや・・・、俺の、方こ・・・そ悪い」
ベッドの端から元の位置へと戻ると、申し訳ない思いからこちらもしどろもどろな話し方になってしまい、なんだか変な感じだ。
黒崎の方こそ怒ってないだろうかとチラっとその顔を覗き込めば、何故だかまたニイチを掲げ顔を隠してしまった。
あ!コラ、ニイチがびっくりしてるだろ!
「バ、バカヤロウ・・・っ!ほんっと、新名は自覚が足りなすぎる。・・・・・・マジ勘弁してくれ」
・・・って今度はどうした!?
そのまましゃがみこんでしまった黒崎は、そんなに俺が疑ったことがショックだったのだろうか。
ベッドから降りて様子を見ようとすれば、すかさず手で制止されてしまい・・・いや、もう本当にすまない。
そこまでショックだったとは・・・俺、無神経にもほどがある。
「黒崎のことを疑って悪かった。お前はここまで俺を運んで、世話を焼いてくれたっていうのに・・・大変だっただろう?それなのに俺は礼の1つも言わずに・・・」
「あー!もう、ストップ!いや、まあ…色々と大変…いやいや!もうそのことはいいから、とりあえず今日は休め。な?俺も一緒に休むし」
ベッドの上で項垂れた俺は遅ればせながら謝罪の言葉と、感謝の言葉を告げようと口を開いたのだが、それは途中で上げた黒崎の声に遮られてしまった。
ああ、やっぱり気にしてるよな、本当に悪いことをした・・・って、ん?
「何か欲しいものがあればすぐに言えよ。1日中付きっ切りで看病してやるからな」
「あ、コラ!何でお前まで学校休むんだ・・・!」
再び俺を布団の中に突っ込みながらいつもの調子の戻ってそう言った黒崎の言葉に声を荒げれば、不満そうに顔を顰められてしまう。
・・・なんだ、その顔は。
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