私立月見里学園高等部
B
黒崎の言葉に首を傾げつつ、やっぱり佐野先輩のように親衛隊と仲良くした方がいいのだろうかとぼんやり考える。
しかし元来、人付き合いが得意ではない俺にとってそれは中々に難関だ。
とりあえず今日は黒崎の言うことを聞いて、明日学校に行ってから色々と考えるか。
そう思って大人しく体から力を抜いてベッドに体重を掛けるが、なんだ?
えらく布団がゴワゴワして・・・。
「!?」
「に、新名?」
突然はっとしたように体を起こした俺に、ニイチを抱き上げてあやしていた黒崎は驚いたように体をビクつかせる。
しかし驚いたのは俺も同じだ。
「俺は寝ぼけて服を脱ぐ癖があったのか・・・」
やけに布団の感触がリアルだと思ったら、裸じゃねーか俺。
しかも上半身だけじゃなく、下着しか身に着けていない。
そんな俺の呟きに黒崎は何故かおろおろとし始め、俺がどうした?と首を傾げると途端顔を真っ赤にしてしまった。
・・・訳が分からん。
「・・・違、それ俺。・・・が、やった・・・」
そして更に意味が分からないことにニイチを掲げて顔を隠した黒崎は、いつもの尊大な調子(といっては言い方が悪いか・・・)が嘘のようにしどろもどろでなんだか気持ちが悪い。
しかもやったって・・・犯人はお前か!
昨日うっかりお前の背中で安心して寝てしまった時間を返せ!
ジト目で睨み付け、ベッドの端へと移動する俺に黒崎は慌ててニイチの後ろから顔を出すと、焦ったように声を張り上げる。
「新名、勘違いだ!・・・や、やましい気持ちなんて全くねーぞ!た、ただな!ブレザーと制服のスラックスじゃ苦しいし皺になるだろうと・・・」
しかし尻すぼみになる声で説明された事実に、俺は一瞬でも黒崎のことを疑ってしまった自分を恥じた。
・・・そうならそうと先に言えよ。昨日のことがある手前、思わず自意識過剰になっちまったじゃねーか。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!