私立月見里学園高等部
A
そりゃ背中でいきなり寝こけられたら、よっぽど疲れてるんだと思うよな。
いや、それに関してはいつ寝てしまったのか分からないくらいだから、黒崎が気になるのも無理ない。
というかむしろ変に心配を掛けてしまった様で、本当面目ないんだが…。
無駄に寝たからな。
スッキリ爽快とはいかずともお陰様で睡眠はとりすぎるほどとれた、うん。
だから黒崎が心配してくれるその気持ちはありがたいんだが、本当に俺…。
「って言ってる傍から起きようとしてんな」
大丈夫だから、元気だからと起き上がろうとすればすかさず押し戻してくる腕に、俺は情けないことに簡単にベッドへと押し戻されてしまう。
しかも片手。
「ぐ…」
「大人しく言うこと聞いて寝てろ。…ほら、布団から腕出てんだろーが」
限り無く眠そうな目をしているというのに、全くどこにそんな力があるっていうのだ。
「…んなへろへろした状態で学校なんていってみろ、何されるか分かったもんじゃねぇ。解禁日が終わったからって油断してっと痛い目みるぞ」
まるで母親の様に…ってうちの母さんの場合当て嵌まらないが…とにかく、問答無用で再び俺をベッドに押し込むと、かいがいしくも布団を首まで上げてくれる黒崎の言葉にあれ?と首を傾げる。
「昨日だけじゃねーのか?」
解禁日のことは詳しく説明されていないから良くわからないが、抜け駆け禁止とかいうよく分からん親衛隊の決まりがない日だったんだろ?
だから俺はあんなにも追いかけられ、色んな目に遭ったわけで・・・。
「まあ、世の中には悪い奴が大勢いるってことだ」
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