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私立月見里学園高等部
A
 しっかりした歩みに俺は安心して目を瞑ると、気配で分かったのか黒崎が片手で俺の体を支え頭を撫でてくる。

「疲れてるだろ?寝てろ」

ぶっきらぼうに優しい言葉と、壊れ物でも扱う様に触れてくる手がくすぐったい。

バーカ、俺はんな柔じゃねーよ。

 そう軽口で返して、でもそれが強がりだということはさっきまでの俺の行動でバレバレだろう。

かっこ悪ぃな、俺。

あーしかもそんな黒崎の台詞のせいか、あたたたかい背中のせいか意識がまどろんできた。

んー…瞼がくっついて開かねぇ。

「…今は何もかも忘れて寝ちまえ」

 するっと髪を撫でて離れていく手を寂しく思いながら、またしっかりと俺の体を支えるそれに知らず力が抜けていく。

寝てる奴を背負うのはそれこそ重いだろう、そう思うんだが…う、ん…。

 首に回した腕の力が緩んでいく様に黒崎が小さく笑うのが分かる。

「…れ…、…る…か、ら…」

あーなんか言ってるみてーだけど。

悪ぃ…もう、分かんね…。

 心地よい揺れとあたたかい背中と、それと嗅ぎ慣れた黒崎の匂いに包まれながら、俺の意識はそこで途切れた。

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あきゅろす。
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