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私立月見里学園高等部
あたたかい背中
「新名…意外と重いのな」

 智希が去ったあと、俺をおぶったまま反対方向へ歩き出す黒崎になぜだかしみじみとそう言われてしまった。

な、なんとなくいたたまれない…。

 確か平均を下回るくらいの体重だったと思うんだが、それは身長に対してであって…俺の身長は平均以上だ。

対する黒崎もさっき言われた様に縦も横も対して変わらない。

「…悪い」

 小さくそう呟いて背中から降りるために身じろげば、慌てて担ぎ直された。

なんだ、降りろって言ったんじゃないのか?

「ちょ、いきなり動くなって。落としちまうだろ!?」

 きちんと俺を背負い直した黒崎はくるっと顔だけ振り返ると、至近距離で眉をしかめる。

何怒ってんだ…コイツ。

「重いんだろ?」

自分がそう言ったんじゃねーか。

「ば…っ!そういう意味じゃねーよ!ただ、な」

「ただ?」

「…ただ、さっき見た新名がすんげー小さくて。だからこの重み噛み締めてんだよ」

 また前を向いて歩き始めた黒崎はそう語尾を小さくしながら呟いて。

その言葉に黒崎の言わんとすることが分かった俺は、少し赤くなったその首に再び腕を回した。

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