私立月見里学園高等部
C
そんな俺の疑問に答えてくれたのは、他でもない俺達を生んだ母さんだった。
「あんたと伊近は二卵性双生児だからそこまでそっくりってことはないの。でも2人ともあたしと春人に似て男前に育ったじゃない!ね?」
男前云々は親の贔屓目だろうが、そういえば双子だからといって、そっくりというもんでもなかったな。
冷静になれば分かることで、思わず取り乱してしまったことが恥ずかしい。
それに、なんだか不思議な感じだ。
今まで存在を知らなかったのに、双子の兄弟がいると分かった瞬間、何か自分の中で歯車が噛み合ったような、パズルのピースが揃ったようなそんな気持ちになったのだ。
それに、それで納得がいった。
イチカが俺の考えていることを分かったことも、一緒にいて心地よいと感じたことも。
「そうか…」
なんとなく新しい自分になった気がして、同時に今度は再び離れてしまうことに恐怖を感じる。
「伊近、これからはずっと一緒だ」
だから自然とその言葉が出て来たことは、極当たり前のことだった。
そんな俺の言葉に、伊近はハッと息を飲んだあと、何度も何度も頷いてくれる。
そして、あの優しい笑みを向けてくれた。
「ああ、離れられるわけがない」
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