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私立月見里学園高等部
見えていなかった真実
「はぁ・・・はっ、ここまで・・・くれ、ば、もう大丈夫だろう・・・」

 先ほど2限開始のチャイムが鳴り、授業中の寮内は閑散としている。

額に滲んだ汗を拭い、相変わらず豪華な吹き抜けのホールを見渡すがやはりひとっこ一人見当たらない。

知らず息を詰めていたらしく、その事実にほうっと息を吐いた。

 大理石(らしい)張りの床の上を足音を鳴らしながら向かっているのはA棟のエレベーターホールだ。

確か入寮当初、龍之介が“Aクラスは特別だ”と言っていたように、A棟のエレベーターに乗るには俺達の持っているカードキーが必要で、Bクラス以降の生徒達は部屋に来る以前にエレベーターにも乗れない。

だから寮の自分の部屋に入れば自らドアを開けない限りは安全というわけだ。

 そんな自分の考えに満足しながらホールを抜け、確か”告白の庭”とかいう噴水やら銅像やら薔薇のアーチやらで飾られている中庭を臨むことができる渡り廊下をゆっくりと進んでいく。

本当にこの中庭は“告白の庭”というだけあって、相手を呼び出して告白すれば成功するといわれているらしいのだが・・・そもそもこの学校には男しかいない。

うーん・・・。

はっ!だったら親衛隊ってのも必然的にメンバーは全員男ってことじゃぁ・・・。

 今更過ぎる事実に驚き、いや、でもまさにこの場所で龍之介に告白なるものをされたのは記憶に新しい。

しかも思い返してみれば俺龍之介に押し倒されたり・・・!

最近ではすっかり慣れっこになってたが空もあの発言もその・・・、あと伊近やら加賀美も“俺のモノ”やらなんとか。

他にも色々と思い出されて、軽くパニックだ。

 最初のうちは何男相手に・・・とか思ってたのに、慣れって怖ぇ。

というか脳が勝手にそういうことは深く考えないよう、理解しないよう指示を出していたとしか思えん・・・。

すっぽりごっそりなかったことにしていた自分が怖いんだが。

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あきゅろす。
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