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私立月見里学園高等部
A
  教室の窓から外に放り出された俺はそのまま中庭を突っ切るように走っているのだが・・・。

「新名くぅ〜ん!今すぐ会いにいくから〜!」

「うぉおおおお!!!!新名〜!!!!」

遠くから聞こえるのは俺を呼ぶいくつもの声。

ついこないだまでは廊下ですれ違い様に名前を叫ばれたり、食堂で見つめられたり・・・ってこれは伊近達といるせいか・・・とりあえず今日みてぇにわいわい騒がれたりしてなかったのに一体どういうことだ?

「教室にはもういないらしいよ!」

「窓から出て行ったらしい!」

「だったら中庭だ!急げ!」

 親衛隊という名のファンクラブが出来たのにも驚きだし、今こうやって大勢に追っかけられてるのも理解できねぇ・・・。

とりあえず伊近と黒崎は逃げろというし、その言葉に素直にしたがっているわけだが。

しかしこのままだと捕まるのは時間の問題かもしれない。

捕まったところでどうなるのかは皆目見当がつかないが、あの伊近と黒崎の必死の顔からして大変なことが待ち受けているのだろう。

 アイツら確かどっかに隠れてろって言ってたよな?

隠れる場所・・・隠れる場所・・・。

と言っても入学1ヶ月経った今でもこの馬鹿でかい学園の地理は全て把握できる筈がなく、持ち上がり組ならまだしも俺はこの4月に編入したばっかりだ・・・。

「寮・・・か」

そんな俺が思いつく場所といえばそこくらいしかない。

とりあえずそこで放課後まで籠城すればどうにかなるか、と俺は寮に進行方向を変え、全力疾走で駆け抜けた。

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