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私立月見里学園高等部
A
 授業そっちのけで(いつの間にか来ていた1限担当の現国教師は空が何かを耳元で囁けば、少しふらふらとした足取りで自習と告げて去っていってしまった)“新名親衛隊対策会議”なるものが始まったAクラスはなんだか異様な雰囲気を放っていた。

教壇に立った渡辺はもしかしたら加賀美よりも教師らしく、その姿をうっとりと見つめる奴らがちらほらいたが本人は特に気にしていないらしい。

 黒板にチョークで“新名親衛隊対策会議”と少し右上がりの癖のある字で書き終えた渡辺はくるりとこちらを振り返ると、俺に視線を合わせて話し始める。

「いいか、まず親衛隊ってのは生徒会の連中は当たり前だが伊近や黒崎、智希なんぞ顔が良くてついでに家柄が良い奴なら大抵あると思え。本人が認めているもの、認めてないもの。あと、規模は色々だがこの学園には部活みてーに数十の親衛隊があるわけだ」

カッカと黒板に図を書きながら話を進める渡辺の説明を思わずルーズリーフにメモをとっていると、何故だか満足そうな顔で頷かれてしまった。

な、なんか渡辺の奴乗ってるみたいだな・・・。

「ここまでは大丈夫そうだな。・・・まあ、そいつらを好きな奴同士が集まってわいわい言う分にはぴーぴーきゃーきゃうるせぇが特に問題はない。だが、親衛隊といってもただの集まってるだけじゃねーのが面倒くせーところで・・・

「そうなんだよ!新名くん!去年の暮れ頃かな?イチくんが永久くんの親衛隊の子の誰かにちょっかい

「ちょ、空!?てめっ・・・」

出したとかー、永久くんがイチくんの親衛隊の子を食

「お、おい!」

ったとかねー。この2人の親衛隊はいっつも揉めてるんだけど。あーでも今年に入ってからは止んだよね?どーして?」

・・・空。邪魔するなって言っただろーが、・・・ちっ」

 しかし黙ってることに飽きたらしい空の横槍が入り、それに伊近と黒崎はわたわたと・・・渡辺は脱力気味だ。

「あ、ごめんねー。でも、黙ってるとこう口がむずむずするんだよ?あと、ついでにこっちもなんだけど・・・新名くん触ってみる?」

「・・・遠慮しておく」

大人しかったのは数分だけだった空はちぇーとつまらなそうに唇を尖らせると、机に附せて俺の方を睨み・・・見つめ?ることにしたらしい。

「光くん、僕大人しく新名くんのこと視姦しとくから話進めちゃって!」

じーっと何となく落ち着かない視線を向けらながらも、俺も渡辺に進めるように訴えかければ、溜め息まじりに肩を竦められてしまった。

そういや空が伊近がどーのこうのやら黒崎がどーのこうの言ってたが・・・まあ、とりあえず今は渡辺の話を聞くことにしよう。

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