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私立月見里学園高等部
光くんのよく分かる親衛隊講座
 パンパン!

本日2回目の伊近と黒崎の喧嘩が勃発したところで、それを止めるように渡辺が手のひらで注意を集めるように音を出した。

「はー。お前ら、さっきのことが全く教訓になってねーのかよ。そうやって喧嘩ばっかしてるからうっかり新名に親衛隊の許可出されちまうんだぜ?」

それで教室中の視線が渡辺に集まったというのに、当の2人は啀み合いの真っ最中で。

しかし続けられた言葉に2人の動きがぴたりと止むのを見て、俺は思わず渡辺に尊敬の眼差しを向けてしまった。

「お前らがいくらわーわー言ったって、生徒会で認定されてしまったものは余程の理由がない限り覆されることはねーだろ。・・・まあ、とりあえず今はこの見かけに反してボケまくりの新名にどーにか親衛隊の仕組みを理解させて。それから今後どういう対応をしていくかを話し合った方が有意義なんじゃねーの?」

 そんな渡辺は言葉遣いこそあまりよくないが、さすが委員長といったところだろうか。

今まで俺に何とも言えない視線を送ってきていたクラスメイト達の顔がぱぁっと明るくなるのが分かる。

渡辺って凄い奴だったんだな。

「さっすが光くん!言うことが違〜う!」

そう思ったのは俺だけではないらしく、空をはじめ教室内のあちらこちらから感心するような声が上がった。

「む・・・俺だって今そう言おうとしたとこだぜ?」

 と、何ともバツの悪い顔をして見栄を張ってみせる伊近に俺は呆れたように溜め息を吐くと、渡辺に向き直る。

「俺は何をしたらいいんだ?」

結局親衛隊についてファンクラブということ以外殆ど理解していない俺は、今このクラスの中で1番頼りがいのある渡辺にすべてを委ねることしか出来ず・・・。

「とりあえず黙って俺の話を聞くこと。話はそれからだ。・・・伊近に黒崎、それから他の奴も邪魔すんじゃねーぞ」

眼鏡をキランと輝かせた渡辺に俺はコクコクと頷くと、見れば他の奴らも動揺に首を縦に振っていた。

やっぱり委員長の権限というのは凄いらしいな。

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あきゅろす。
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