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私立月見里学園高等部
5:無意識(伊近×新名)
※伊近と新名は付き合ってる設定です。

「伊近」

「あ、悪ぃ」

 気付けばいつの間にか新名の方に寄りかかってしまう俺の体。

その度に咎める様に新名に名前を呼ばれ、ソファの元の位置に戻る。

さっきからそれの繰り返し。

 多分新名は磁石のN極で俺は磁石のS極じゃねーのかと思うわけだ。

だからこうやって俺の体がいつの間にかくっついていってしまうのは仕方ないわけ。

 それにさ、俺、新名と離れちゃいけない病なんだよ。

ぜってー。

今まで離れてた分一緒にいねぇと新名欠乏症で夜徘徊しだすぜ、俺。

新名が足りない、新名が足りない、新名が足りない。

「にーなー」

「ん?」

「好きー」

「・・・知ってる」

 ソファに並んで座っている新名は手の届く場所にいるのに何だか遠い。

料理の本を読んでる新名は俺のために勉強してくれてるのは分かってても、やっぱり相手にされないのはつまんねぇ。

 こっちを向いて欲しくて名前を呼んでも新名は答えるだけで視線は本に落ちたまま。

返ってきた言葉もそっけなくて、本当に俺愛されてんの?

その本にまで嫉妬しちまう俺って何キャラだよ・・・乙女かってんだ。

 自分のその考えに愕然とし、軽く落ち込む俺。

どうせなら新名がそんな風に思ってくれねぇもんかね。

 少し長くなった自分の前髪を退屈しのぎに引っ張ってみるが、何がしてーんだ・・・。

どうせなら何回も染めて傷んだ自分の茶色い髪より新名の、飾り気はないけど綺麗な黒い髪に触れたい。

っていうか髪だけじゃなく新名の全部を触りてーんだけど。

 またこてんと体が傾いて、新名のしっかりした肩に頭が当たる。

ぐりぐりとそれを押し付けるようにすれば、溜息と同時に新名の指が俺の髪に触れた。

「伊近」

そしてまた呼ばれる名前。

 その声は咎めるものではなく、少し呆れたような、困ったようなそんなニュアンスを含んでる。

「悪い」

俺はそれにまたそう答えて体を元の位置に戻そうとすれば、するりとその骨張った指が俺の頬を撫でてすぐに離れていった。

そんな新名に俺はこっそりと笑ってやる。

 気付いてるか?俺がくっついてく度にそうやって自分が俺に触れてること。

多分無意識だろうそれが凄く嬉しくて、俺の体はまた自然と新名の方に傾いちまうんだ。


fin

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* あとがき *

はがーーーーーっ!!!
5つの中で1番甘い・・・。(自分的に)
やはり双子のパワーは絶大です。というか元々ナチュラルにいちゃこいてるんで、ねぇ。
本編ではまだ誰とも進展のない新名さんですが(というか全く気付いてない&気にした様子がないので周りが不憫です)、早くいちゃこらさせてあげられるように頑張ります!(笑)
25万hitを迎え、物語も折り返しを迎えましたが、これからも月見里学園に出てくるこの子達を見守ってやってくださると嬉しいです!
ではではここまで読んでくださってありがとうございました!
また26万、27万・・・30万、40万とたくさんの方が足を運んでくださるようなサイト作りをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

お題配布元:あなぐら様より
「セクハラ5題」

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