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私立月見里学園高等部
3:高度なテクニック(加賀美×新名)
※このお話では加賀美先生と新名さんは付き合ってる設定です。


「オイ、新名。手伝え」

 といって半ば強制的に連れられたのは英語準備室。

遮光カーテンが引かれ、資料室のようなそこは思った通り埃っぽく、しかし意外にも整理整頓がなされているようだ。

本っ当意外にもな。

 加賀美は職員会議だとかで、そこに1人残された俺は電気を点けても薄暗いそこで明日使うという教材探しをさせられているわけだが…。

「はぁ…」

 整頓されている割りにはどこに何をしまっているのかは把握してないらしく、適当に探してくれ〜なんて言っていたが加賀美の奴こうやって俺みたいに生徒を使って片付けさせてるんじゃ…。

有り得る。

何となくその想像がついてしまって溜息を吐くと、渡されたメモに目を遣る。

「えーレッスン3のリスニングCDと…英単語フルーツカード…メアリーとジャックのパペット…ってなんだこれ」

しかしそこに書かれたのはまるで、小学生の授業でもするのかといったようなもの。

「…加賀美だから仕方ねぇか」

だがそう結論付けると、俺は早速捜索にかかった。



「…ったくメアリーとジャックはどこにしまってんだよ」

 遮光カーテンのせいで外が明るいのか既に夕焼けに染まっているのかは分からないが、とりあえず探し始めて小一時間は経ったはずだ。

が、いつまでたっても例のメアリーとジャックのパペットは見つからねぇ。

 そのままバックレてもよかったんだが、それはそれで後が怖い・・・ような気がする。

はぁと小さく溜め息を吐き、とりあえず加賀美が帰って来るまでは探してやるかと、再び腰を屈めた時だった。

「う…わ!?」

 突然全ての電気が消え、ただでさえ薄暗かった室内は真っ暗になってしまう。

「え、ちょ・・・停電・・・あ痛〜〜〜〜っ!」

視界0の状態で動こうとすればそれはもちろん何かにぶつからない方がおかしいわけで・・・。

体を起こした俺は、ついうっかり頭上の棚に頭をぶつけてしまったわけだ。

「っう・・・」

 頭を抱えて蹲っていると、ふいに背後に人の気配を感じて立ち上が・・・ったらダメだ。

またさっきの二の舞になることを考えて体をずらそうとすれば、しかしその前に後ろから覆い被さられてしまった。

「だ、誰だ・・・!?」

「・・・」

 思わず声を上げるがしかし、答えは返ってこない。

・・・はっ!も、もしやコイツゆ、幽霊じゃあ・・・。

電気が消えたのもラップ現象で・・・ってうわ鳥肌立っちまった。

 ぞぞぞっと背筋に寒いものが走るのを感じ、完全に逃げ腰になってしまう。

だ、だから俺!幽霊とかダメだっつってんだろ!?

 かっちんこっちんに固まってしまった俺に、幽霊?は触れるか触れないかのタッチで触れてきて・・・あああああ。

絶対今俺の体通り抜けようとしてんだろ!?

もしくは乗っ取られそうになってる!?

 パニックのせいか脳内で知りもしない念仏が聞こえ始め、気を抜いたら気絶してしまいそうだ。

いや、でもここで気絶してしまっては本当に体を乗っ取られかねぇ・・・。

意識を保て・・・俺、意識を〜・・・。

 その間にも奴は俺の体に触れてきて、ああ・・・鳥肌立ちすぎだろ。

そしてついにはそれが俺の素肌に触れてきて・・・。

って触れ・・・?

 つつーっと腹筋をなぞる様に触れているのはどう考えても人間の指だ。

も、もしかして幽霊じゃない?

半信半疑ながらもそれにギギギギーっと油の差していない機械のような動きで手を動かし触れようとすれば、それはそこに到達する前にすすっと上へ滑ってくる。

「・・・っ!」

ってこの動き・・・この動きは身に覚えが・・・。

「っあ!」

「感度良好だな、新名」

思わず上げてしまった声に、聞き覚えのある声が耳に囁かれた。

 ふっと背中から重みが消え、パチンパチンという音と共に部屋に電気が点される。

「眩し・・・」

それに目を顰め、言いたいことは山ほどあったが・・・とりあえず。

自分の格好に唖然とした。

「・・・いつの間に」

「まあ、それくらい俺の手に掛かれば朝飯前だ」

 殆ど触れるか触れないかだったというのに・・・どうして制服の前は全開でズボンの前までもが全開だって言うんだ!?

「まあそれは今度教えてやるとして・・・だ」

「だ?・・・ってああ!?」

で、なんで俺を押し倒す!?

「加賀美!?」

「鏡也先生だ、ろ?」

 俺に圧し掛かってくる加賀美に拳を振り上げるが、それは易々と止められてしまい・・・。

「観念しろ、新名」

笑う加賀美にこれは全てを悟った俺は、大人しく観念するより他なかった。

fin

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* あとがき *

・・・なんていうかすいません。(笑)
策士でテクニシャンな加賀美が書きたかったんです。
しかしこれはもうなんていうかテクニックというより神業・・・。
ああ、でもなんていうか先生×生徒は設定の時点で好きです。
あ!ちなみに文中で出てきたメアリーは本編で光くんが読んでいたミステリー?小説の主人公です。
ジャックはその夫。(と、どうでもいい裏話ですが・・・)

お題配布元:あなぐら様より
「セクハラ5題」

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