私立月見里学園高等部
2:抱きつく(黒崎×新名)
「新〜名っ!!!」
そう言って躊躇いもなく俺の新名の背中に張り付く智希が憎い・・・。
近頃じゃ気付いたら新名の背中には智希がくっついていて、全く油断も隙もあったもんじゃねぇ。
隙あらば俺も抱きついてやろう!なんて思ってるんだが、その時はあのクソ月見里とか月見里とか月見里が張り付いてやがって・・・!
ああ、思い出したらムカついてきた。
智希が新名にくっついてってもでっかい犬が纏わりついてるようにしかみえねぇんだが、月見里は違う。
アイツ俺が先に目ぇつけた新名にべったべったべったべった触りやがってよ!!!
双子の兄だかなんだか知んねーが、触りすぎだろうが!
新名も新名で何も言わねぇし・・・あ、よし智希の奴離れやがったな。
よし、今度こそは・・・。
「にい・・・
「新名くぅ〜〜〜んっ!!!!」
・・・っ!?」
ドギュンっと風を切って現れたのは空の野郎で、アイツめ・・・俺の新名に腰を押し付けんな!腰を!
しかもさり気なく(ズボン越しとはいえ)ケツの割れ目にぐいぐい押してんじゃねぇ!
てめぇみたいに汚れきったの押し付けやがったら新名が穢れるだろーが。
「・・・永久くん、何?今すぐ廊下の真ん中で犯して欲しいって〜?」
「い、言ってねぇ!!!!」
「んもー永久くんってば照れ屋さんなんだからぁ★それに、僕〜永久くんより断然キレイなか・ら・だvしてるからぁ〜」
って俺声に出してねぇよな!?
こ、怖ぇええ・・・やっぱアイツ怖ぇよ。
背筋に悪寒が走って体を震わせていると、いつの間にか空は新名に引き剥がされていて・・・フンざまぁみやがれ。
・・・しかしいざ自分が抱きつくとなるとちょっと勇気がいるな。
って俺はヘタレかよ、クソ月見里じゃあるめぇし。
気合を入れなおした俺はそろ〜っと新名の背後から近付き、ぎゅーっと・・・。
ってうおぉぉ!?新名、いつの間にこっち向いたんだ!?
「ん?どうした?黒崎」
両手を開いたまま中途半端な体勢の俺に新名は首を傾げると、ほんの少しだけ上にある俺の目を見上げてきて・・・うわやべっ。
それは反則だろ、お前・・・っ。
慌てて顔を逸らせる俺に、新名は何を思ったか俺の顔を覗き込んできて、額と額を合わせてくる。
あああああ!これはもう、誘ってんだよな!そうだな、誘ってんだよな!
と、なんだかやけに可愛い新名をがばぁっと抱きしめようとすれば、その前にぎゅうっと抱きしめられてしまった。
誰にって、新名にに決まってんだろ!
「んな目真っ赤にするほど泣くなんてよっぽど辛いことがあったんだな」
しかし・・・は?
確かに新名の上目遣い&おでこごっつんこでちょっと顔が赤くて、涙目(意外とごっつんが痛かったんだよ・・・)だったかもしれねーが!!!
・・・しれねーが!!!!!
よしよし、と背中を慰めるように撫でられて・・・俺はどうすればいいんだ。
いや、でも新名から抱きついて(抱きしめ)てくれたんだから・・・って俺、それでいいのか!?
fin
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* あとがき *
節操なしのナンパ野郎だったはずなのに、黒崎ってば新名(天然だけど男前)の前ではただのヘタレに・・・。
本編でもなんだかいまいち新名と絡めてなくて空回り。
実は本当に黒崎から抱きついて(抱きしめてる)のって初対面除いたら1回くらいしかないかもしれないです。
そして今回も本編(第3章)に引き続き新名さんからぎゅって・・・可哀想なんだか役得なんだか。
つーか何が1番セクハラって空の存在が・・・。(;´Д`A ```
お題配布元:あなぐら様より
「セクハラ5題」
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