[携帯モード] [URL送信]

私立月見里学園高等部
A
 そんな俺を解凍してくれたのは、聞いたことのあるようなもう一人の男の人の声だった。

「親父、何いきなり抱きついてんだ!新名が汚れる」

俺に抱きついていた人は、その声の主に後ろから引っ張られたらしく、開放されたことにほっと息を吐く。

「そうよ、春人。新名が汚れるじゃない!」

そして、母さんの声が聞こえたところで俺はそちらに顔を向けると、訳が分からないというように首を傾げた。

「新名、ごめんなさいね。いきなり。それで、さらにいきなりで悪いんだけどあたし再婚することにしたから」

 へー、再婚か。

いきなり告げられたことだったが、別段俺は驚きもせずにこの目の前の人が再婚相手なんだな、と納得する。

まあ、母さんも15年も独り身でいたんだから再婚くらいするだろうとはずっと思っていたので、むしろ遅いくらいだった。

「そっか、おめでと」

 純粋に嬉しくて頬を緩めると、母さんが嬉しそうにこっちに飛んでくる前に、目の前の人にまた抱きしめられてしまう。

な、何なんだ!?

「何、新名凄い可愛いんだけど!こんなことなら伊近じゃなくて新名を引き取ればよかったよ〜」

「親父・・・っ!」

 ぐりぐりと頭を肩に押さえつけられて、少し苦しい。

それに、言ってることがよく分からずに母さんに視線を向ければ、少し怒ったような顔はすぐに呆れたようなそれに変わった。

「ソイツ、あんたの父親だから」

って、それはさっき聞いたから知ってるんだけど。新しく俺の父親になる人なんだろ?

そんな意味を込めて、再び母親に視線を向ければ、首を左右に振られる。

ん?何か良く意味が分からないんだが・・・。

「遺伝子的にも完全に正真正銘あんたの父親よ」

「そう、15年振りだけど覚えてるかな〜?新名ちゃんのパパの月見里春人(ヤマナシハルト)だよ〜」

 パパ!?え?は?何!?

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!