私立月見里学園高等部
B
俺の頭を撫でていた彼の手は、今は猫の頭を撫でていて、猫はそれに目を細めている。
その姿を見て、誰にでも人なつっこい猫だったのかと少し落ち込んでいると、何を思ったのかまた頭を撫でられてしまった。
うーん…何がしたいんだ?
「そういえばコイツの名前決まってんの?拾ったばっかみてーだけど」
俺が困ったような顔をしたのに気付いたのか(といっても俺はあまり表情が変わらないらしく、それこそ母さんじゃないと分からない)すぐに手は離され、話題を切り替えるようにそんなことを尋ねられる。
猫の名前…そういえば考えていなかった。
なんか自然と猫と呼んでいたから、それでいいんじゃないだろうか。
「さすがに”猫”は可哀相だぞ」
しかし考えを見透かすようにそう言われ、驚きに目を見開く。
もしかして超能力者とか?
だったらかっこいいなと考えて、いやでもまさかなあ。
「お前、なんか適当に名前付けそうだし。犬がいたら”犬”って呼ぶタイプだろ。だから俺が決めてやる」
ってただ単に人間観察力に優れているだけなのか?
分からないけど、取りあえず超能力者ってことにしとこう。
別にどちらにしても自分の気持ちが伝わるのは俺にしては嬉しい。
目の前の彼は少しだけ考える仕草を見せた後、閃いたように顔を上げた。
「ニイチ…。よし、ニイチに決まりだな」
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