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私立月見里学園高等部
親バカにも程がある
 生まれた彼らの子供は、二卵性のとても可愛らしい男の双子だった。

名前は長男が伊近(イチカ)、次男が新名(ニイナ)で、2人は泣くときも同時、笑うときも同時なとても仲のいい兄弟だった。

 そんな彼らが少し大きくなって、言葉を話すようになったとき、事件は起こってしまった。

「にーな」
「いちか」

二人が初めて発したのがお互いの名前だというのが笑ってしまうが、それはそれで微笑ましい。

しかし、次に覚えた言葉が問題だった。

「ぱぱ」
「まま」

 上が伊近で、下が新名。

呼ばれた喜びに歓喜の声を上げるが、どうせならもう一人にも呼ばれたいと思うのが親心。

しかし、いくら「ぱぱ」「まま」と教えても、双子は片方しか覚える気配はなく、他にもたくさんの言葉を覚えていっても、それだけは覚える気配がない。

まあ、焦っていてもいつかは覚えるだろうと、その件はそれで収まったのだが、さらに追い討ちをかけるようなことが起こったのだ。

「伊近のこの鼻、俺にそっくりだよなー」

「えぇ!?何言ってるの、あたしに似てるに決まってるじゃない!」

「ん!?じゃあこの新名の口元は俺似だなぁ。な、新名?」

「何言ってんの!?この上唇の形なんかあたしにそっくりでしょ!?」

「何!?」

「何なのよ!?」

 お互いに似ているところを上げれば、お互いが自分に似ていると言い争い、仕舞いには親戚総出でどのパーツがどっちに似ているか投票まで行ったほどだ。

その結果、伊近は父親似、新名は母親似ということで決着がついたようだが、2人の間の蟠りは取れずに、数ヵ月後、お互いに似ているという双子の片方ずつを引き取って、離婚ということになってしまったのだ。

 それが今から15年前のお話。

月日は流れ、すっかり大人になった二人が再会し、結局2人ともどっちにも似ているという初めから分かり切っている結末に落ち着いたのはついこないだのことだった。

fin

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あきゅろす。
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