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私立月見里学園高等部
Sweet Time[1万打]
【Attention!!】
1万打ありがとうございました!
こちらは記念の短編小説なので、本編とは切り離して読んでいただければ幸いです。
恋人同士になった双子の、自宅でのいちゃいちゃバナシです。
では、どうぞ・・・

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『Sweet Time』


「ん・・・っ」

 キッチンからは甘い匂い。

俺はどうやら眠ってしまっていたらしい。

体を起こすとソファの下にブラウンケットが落ちて、それに思わず頬が綻んでしまう。

 ひとつ伸びをして、そこから見えるキッチンには俺の愛しい双子の片割れ。

腰で結んだエプロンのリボンがキッチン内をせわしなく移動するたびに揺れて、それがなんだか可愛い。

俺はそんな甘い匂いに誘われるがままキッチンへと移動すると、そんな新名の後ろからそっと腰に手を回した。

「っ!」

 驚いたように肩を跳ねさせる新名の頬に頬を合わせれば、それは途端熱くなって笑ってしまう。

「何作ってんの?」

スベスベの頬に頬擦りをして、今度はそれを唇で味わう。

なんだか少し甘いような気がするのは、新名が作っているお菓子のせいだろうか。

「・・・シュークリーム」

 困ったように眉間に皺が寄せられるけど、それが実は照れ隠しだってことは俺にはお見通しだ。

それに俺が好きなシュークリームをわざわざ選んで作ってくれたんだってことも、実は見てすぐに分かっていたり。

 新名の手元には既にふっくらと焼きあがったシュー生地があって、反対側の手には新名オリジナルのカスタードクリームの絞り袋が握られている。

普段はそれに更に生クリームを入れてダブルシューにしてくれるけど、その新名の男らしく骨ばった指が持っている作り途中のそれがとても美味しそうに見えて、俺は肩に顎を乗せたまま、新名の手首を掴み上げた。

「あーん」

 そう自分で言って、新名の手からシュークリームを口に運ぶ。

甘いカスタードクリームがたっぷり入ったそれは、完成品でないにしろとても美味しくて、いくつでも食べれてしまう。

一口、二口、三口・・・と食べていって、最後の一口。

すっかりカスタードクリームに塗れてしまった新名の指ごとそれを含むと、眉間の皺が更に寄ってしまった。

 人から見れば怒っているようにしか見えないその顔も、俺にしてみれば全てが可愛くて仕方がない。

この今口に含んでいる指先までもが愛しくて、食べてしまいたいほどだ。

甘い甘い新名の指まで味わうように口の中で嬲ると、その指先が震えるのが分かって、楽しくなってくる。

しかし、調子に乗ってその指を舐めていると、新名に反撃されてしまった。

「う、わ・・・っ!」

 顔面に掛けられたのは、新名の右手に持たれていたカスタードクリーム。

びっくりして思わず手を離すと、これ幸いとばかりに体を離されてしまう

「ちょ、新名!何すんだよー!」

瞼の上に飛んだクリームのせいで、目が開けられずとりあえず不満を告げれば、大きなため息を吐かれてしまった。

なんだよ、溜息が出るほど男前だって?

・・・まあ、それは半分冗談だけど。

「自業自得だ」

 そんな四文字熟語で一刀両断にされた俺は、しゅんと落ち込んでみる。

顔面にカスタードクリームを引っ掛けたまま落ち込む男子高校生っていう図もなかなか面白いと思うが、案の定チラチラと視線を投げかけてくる新名にほくそ笑んだ。

何だかんだ言って新名は俺に弱いのだ。

「・・・・・・・・・・・・・・ちょっとやりすぎた」

 そうそう、恋人同士の甘い蜜月だというのだから、少しくらいスキンシップが激しくても許してもらいたい。

そりゃ、照れて怒る新名も好きなんだけど。

でも、俺も悪かったしと口を開く前に、瞼に温かいものが触れて、俺は心底驚いた。

「に、新名!?」

 身長はあまり変わらないけれど、瞼についたクリームを舐めとるために背伸びをする新名は、見ていなくても壮大に照れているのが分かる。

それは俺にも飛び火して、柄にもなく赤面してしまう。

しかもクリアになった視界に飛び込んだのは、大好きな新名の笑顔で、俺は堪らずその甘い唇にキスをしたのだった。

fin

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* あとがき *

開設10日目にして早くも1万打を迎えることが出来ました!
これも皆様のお陰です、ありがとうございます!
拍手やBBSなどでコメントをいただいて、とても励みになっています。
皆さんが新名や伊近を好きになって下さり、あたしも作者冥利に尽きるというものです!本当にありがとうございました。
そして、今回心ばかりの感謝の印ということで、1万打記念の短編小説を書かせていただきました。
まだ登場人物が出きっていないので、とりあえず伊近×新名のいちゃいちゃハナシを書いてみたのですが、いかがでしたでしょうか?
またこのお話の感想などもいただければ光栄です!
では、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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