私立月見里学園高等部
D
「あ…!」
そうか、分かったぞ!
「そうか、2人ともよっぽど優羽さんのことが好きなんだな」
なるほど、優羽さんは優しくてカッコいいもんな。
うんうんと頷く俺に父さんと伊近の2人はしょっぱい顔を見せるが、照れなくてもいいんだぞ?
「え!?新名様、俺はそんな…」
当の本人も少し耳を赤くしていて、そんな優羽さんの顔を初めて見た俺は新しい発見に頬を緩める。
「わっ、何!?新名ったら笑顔で母さんのお出迎え〜?優羽ちゃんも可愛い顔しちゃって〜!!もう、困っちゃうじゃないっ!」
しかしそんなほのぼのとした雰囲気は、今帰って来たらしい母さんの登場で一気に賑やかなものへと変わってしまった。
「それに比べてアンタ達はそんな顔してー!男前が台無しよ?」
そんな母さんはどうやら今日は金髪のロングヘヤーな気分らしい。
それをかき上げると、掛けていたサングラスをワンピースの空いた胸元に引っ掛け、しょっぱい顔をしたままの2人を一瞥する。
「母さん久し振りだな、その金髪よく似合ってるぞ」
「キャー!新名ったら本当のこと言わないでよ!新名もその服よく似合ってるわよ。さすが私が選んだだけあるわ〜っ!」
元気そうで何よりだが、胸を押し付けるのはやめてもらえないだろうか。
いくら母親とはいえ母さんも少しは恥じらいをもったほうがいいぞ。
「なーにその顔?もう、その視線で訴えかけてくるとことか春人にそっくりでやになっちゃうわ」
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