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私立月見里学園高等部
不思議なヤツ
「…な、ニイナ」

 名前を呼ばれる声にはっとして顔を上げれば、中学生にしては背の高い俺と同じくらいの位置にある帽子で隠された顔。

俺に絡んで来た不良達の姿はもうどこにも見えず、目の前のいつもの笑い方にほっと息を吐いた。

 不本意ながら喧嘩に慣れたとはいえ、人を殴ることはあまり好きではない。

知らず力が入っていたのだろう、腕の中で猫が苦しそうに呻く声が聞こえて、俺は慌てて力を緩めた。

危ない危ない。

 折角懐いてくれていたのに、嫌われてしまう。

お詫びとばかりに頭を撫でてやれば、すぐに機嫌を治してくれたらしく、その手を舐められてしまった。

や、やばい…。

コイツ本当に可愛すぎる…!!

 これはもうマンションだから云々は後で考えることにして、取りあえず家に連れて帰ろう。

母さんは意外に大雑把だし、問題はない。

そんな自分の考えに頷いていると、突然頭を鷲掴みにされて、顔を上げられる。

 あ…拙い。

すっかりこの人のことを忘れていた。

助けてくれた張本人だというのに、お礼の一つも言わずに放っておくなんて、何ていう失礼なことを。


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あきゅろす。
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