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私立月見里学園高等部
A
「さあ、新名にいっぱいお土産があるんだ。入って入って」

「だから!離れろってんだろ!」

「ちょ、父さん」

 そのまま俺の腰を抱いてドアを開ける父さんにそう噛み付く伊近に、俺も戸惑ったような声を上げる。

「って新名まで!?父さん新名に嫌われたら生きていけない…っ!」

「いや、そうじゃくて。ニイチ…」

父さんはそれに泣き真似をするが、オイオイ…その年でんなことしても可愛かねぇぞ。

まあうちの学校の奴らなら喜びそうだけどなあ…ってやっぱり俺あの学校に馴染んでないか!?

それよりニイチだ、ニイチ!

途中うちの敷地内に入っていくところまでは見たんだが、一体どこに行っちまったんだ?

「よかった、心臓が止るところだったよ」

「そのまま止っちまえばよかったんだよ」

「…あ、新名。そのニイチのことだけど」

「って俺を無視してんじゃねぇぞ!親父!」

「で、父さんニイチのことって?」

「新名までっ!酷いっ」

 しくしくと父さんと同じ様に泣き真似をする伊近に仕方ないなあと頭を撫でてやると、父さんに続きを促すように視線を向ける。

「全く、伊近は…。ほら、新名中に入ろう」

「え、父さん!?ニイチは…っ」

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