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私立月見里学園高等部
久々の我が家
 学校に負けず劣らず、一般の家庭ではありえないほど長い門から玄関までを駆け抜けた俺達は、ドアの前に着いた時には息も絶え絶えだった。

「はぁ…っあ!…け…っきょく家まで…」

「走…っ!てきちまったな…っぁ」

「い、伊近坊ちゃまに新名坊ちゃま!?どうしたんですか、そんな…」

そんな俺達に声を掛けたのは箒を手にした家政婦さんで、びっくりしたように目を見開いてわたわたとしている。

そんな彼女の様子に俺達は立ち上がると、取り繕うように頭を掻いて見せた。

「いや、ちょっと…追い掛けっこ…かな?」

「ハ、ハハ…」

まあ自分達でもなんでここまで走ったのか分からねぇんだけど…。

「…あ!そうだお坊ちゃま方。若旦那様…お父様が2人のお帰りを首を長くして待っておられましたよ」

 そんな俺達に母さんより少し年上らしい彼女は目尻に皺を作って笑うと、思い出したようにそう声を上げる。

「そうか親父、家にいるんだった」

「なんだ、俺が家にいちゃいけないのか?」

ってタイミングよ過ぎだろ!?

示し合わせたかのように家から出て来た父さんは不貞腐れた顔で腕を組んでいて、それが伊近が拗ねた時の様子に似ていて笑ってしまう。

「ただいま、父さん」

「新名ー!おかえり、おかえりー!あー新名はやっぱり可愛いなぁ!父さん新名のためなら何でもできちゃうー」

「だあああっ!親父!新名を抱き締めるな!頬を擦り付けるな!今すぐ離れろっ!」

ほら、家政婦さんも笑ってるだろ?

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