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私立月見里学園高等部
A
 まだ何かしら言ってくる伊近の相手をしながら門に向かって歩いて行くと、あの日正門だと思っていた裏門とは比べ物にならないほどデカい門が遠目に見え、またぼやいてしまう。

その前にはたくさんの迎えの車が停まってるのが見え、実家に帰るのもひと苦労だということが伺われた。

「俺達家が近くで助かったな、あれじゃあ車出すだけで時間掛かっちまう」

全くだと伊近の言葉に頷いた俺は、近付いていくごとにその人の多さが見え、徒歩でも大変そうだと溜め息を吐いてしまう。

人を掻き分けるだけで大変だな、とげっそりしているとその集団の一部が伊近に気付いたらしい。

ってオイ!拙くないか?

 何も考えずに暢気に歩いてきたのはいいが、今までのことを考えれば伊近がいれば大勢に騒がれることはわかっていたのに!

俺の馬鹿野郎・・・。

 しかし伊近は特に気にした様子もなく、俺に上腕の力こぶを見せながらまたもや俺を抱き上げるか抱き上げないかの話らしい。

ったく少しは自分の容姿ってものを自覚しろよ、コイツは・・・っ!

だが敵前逃亡というのは気に食わないねぇ・・・ここは強行突破か!?

幸いまだ少ししか気づかれてないし・・・って思ったそばから集団がこっちに!?

 その勢いにビックリした俺の姿に伊近もようやく事態に気付いたらしく、俺の手を掴んで引き返そうとするが時既に遅し・・・。

「伊近様〜!!!!!!!」

「きゃー!僕もお家に一緒にお持ち帰りしーてーっ!」

「新名くーん!笑ってぇええ〜!!!!!」

「どっちもカッコいい〜!!!!」

こりゃ伊近のせいでとんだ足止めに・・・って今俺の名前を呼ばれた気がするんだが、気のせい・・・だよ、な?

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あきゅろす。
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