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私立月見里学園高等部
帰省ラッシュ
とりあえず必要最低限のもの…となると完全に近所に遊びに行くスタイルで部屋を後にした俺はニイチを腕に抱き、伊近に肩を抱かれながら静かな廊下を歩いて行く。

何となくその手に首を傾げながら管理人室への道をゆっくりと進んでいった。

「おー!イチ坊にニイ坊じゃないか!お前らもお帰りか?」

「「その呼び方は止めてくださいよ(くれよ)…!」」

 遊びに行こうと思いながらも入寮日以来になる管理人室。

その相変わらずの慎ましさにほっとしながら、しかし入ってそうそうお茶を飲んでゆっくりしていた小野寺さんにそう声を掛けられ、2人揃って突っ込んでしまった。

「おうおう、仲良くやっとるみたいだな」

豪快に笑う小野寺さんに顔を見合わした俺達は、脱力気味に帰省の申請を出すと、祖父さんによろしくという声を背中に管理人室を後にしたのだが…。

そうだ、この無駄に長い門までの道を忘れてたぜ…。

「何で無駄に広いんだよ、この学校は…」

「文句なら何代か前の祖父さんに言ってくれよ。あ!なんなら俺が門まで抱いて行ってやろうか?」

 ぼそっと呟いた俺に、聞こえていたらしい伊近は嬉々としてそう返すが、うん…。

「…遠慮しておく」

「ちぇー」

ってお前、交流会でのこと忘れたのかよ?

まず抱き上げれもしねぇくせに。

「ん?新名なんか言ったか?やっぱり俺に抱っこされたくなったとか?」

「別に…」

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