私立月見里学園高等部
母さんからの電話
すべては母さんの電話から始まった。
「…もしもし」
『あ、新名ー?この間のキャンプ楽しかった?ちゃんと私が言った服持って行ったでしょうね!?現地に内密にカメラマン送り込んでおいたから、嘘吐いても無駄よ…ってあら、やっと写真が届いたみたいね!写真集にしてもらってたから時間かかったのよー』
いきなり電話してきたかと思えば何の話だ!?
『キャー!さすが私の息子達!!やっぱり思った通りよく似合ってるわ!しかも2人一緒のなんて最高ね!あら?このカッコいい子ってもしかして新名が言ってた“Lilly”のファンっていうルームメイト!?3人並ぶと壮観ねー…あ!今度その子あてにもお洋服送るからねーっ!』
こちらが口を挟む隙もないほど捲し立てられ、とりあえず話に耳を傾けるが、写真集だって!?
そのために何を着ろとか指定してきたのかよ…本当母さんの服に掛ける情熱には驚かされてばかりだ。
『あ!で、用件はそれじゃあないんだけど…。新名、アンタ明日からGWだけど予定入ってる?っていうか入ってないわよね?じゃあ明日から溜まってるお仕事片付けちゃうからよろしくね〜』
「え!?」
って今度はなんだ!?
また母さんは俺を驚かせて楽しんでるんだろうか、いや、そうだな。
『とりあえず家に帰ってきてねー!話はそれからよ!』
そうにちがいない…って本気か。
母さんがいつも唐突なのは今に始まったことじゃないが、俺にだって予定…そうか。皆帰省しちまうから伊近と適当に遊ぶ予定しかなかったよな…。
『じゃあそういうわけで母さんまだ仕事中だから!また後でね、じゃ!』
って切りやがった!
俺「もしもし」と「え!?」しか声発してねぇんだけど!?
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