私立月見里学園高等部
A
しかしそれはいつまで経っても訪れず、不思議に思った俺は恐る恐る目を開ける。
すると、俺に拳を振り上げていた人物は何故だか地面に突っ伏していて、目の前の俺の胸倉を掴んでいる奴は何故だかガタガタと歯を鳴らして震えていた。
なんだ、なんだ?
俺は目付きこそ悪いが、別にそんな凶悪面って訳じゃないぞ?・・・と思う。
それに、それならまず出会い頭に恐れを成して逃げ出しそうだ・・・。
この人たちはどうか知らないが、俺なら絶対にそうする。前にまず喧嘩も売らないけどな。
そこまで考えてそういえばこんなことが前もあったことを思い出す。
あの時もこんな風に謂れのないことで絡まれて、反撃できない状態で殴られそうになった時だった。
やばいと思って目を瞑ったと思ったら、いつのまにか相手が地面に突っ伏しているのだ。
しかもあの時だけじゃなく、何度も同じ場面に遭遇している。
はっとして、顔を上げればそこにはいつもの後姿。
こんなピンチの時にいつもタイミングよく現れる彼。
そう、そうだ名前は・・・。
「ぃ・・・イチカ!?」
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