私立月見里学園高等部
A ※微
ドアを向いたままの体を引っくり返され、その鮮やかな青の瞳に困ったような俺の顔が映る。
「そんな顔で俺を誘って・・・なんていけない子なんだ」
目を細め、長い指で頬のラインをなぞる仕草に何だか背筋を寒いものが走る気がして、俺は慌てて龍之介との距離をとった。
「クク・・・なんだ、やっぱり君も同じ気持ちだったんじゃないか。この間の告白の返事だって照れていただけなんだろう?」
「え・・・?」
「シ・・・ッ。何も言わなくても俺は全部お見通しだ。今、君がどうしたいかもね」
しかしその間合いはすぐに詰められ、訳の分からないままポンっと肩を後ろへ押されてしまう。
いきなりのことに受身も取れず、しかし背中に当たったのは硬い床の感触ではなく、柔らかい何か・・・。
太陽の匂いのするそれが布団で、自分がベッドの上へと倒されたことに気付いたときには、そんな俺の上に龍之介が覆いかぶさってくるところだった。
「りゅ、龍之介!?」
「嬉しいな、呼び捨てで呼んでくれるのかい?それともベッドの中では名前でっていうタイプ?」
首筋に顔をうずめてくる龍之介の名前を思わず呼び捨てれば、クスクスと笑う息がそこに掛かってくすぐったい。
「ここまで俺を焦らしてくれたのは新名が初めてだよ・・・全くとんだ困ったちゃんだ。もう無理だって泣き叫ぶまで離してあげれそうにないな」
そのままそこを湿った何かが這って、首筋を伝い、耳に入り込んできたところで思わず体が跳ねる。
う・・・この感触には不本意ながら覚えがあるぞ。
もう、本当に不本意だが。
「っ!」
「感じやすい子は大歓迎さ」
いつもよりいくばかりか低い声が俺の耳を擽り、それと同時に大きな手が俺の体の上をなぞる。
春物の薄い布越しに体を弄られ、その何ともいえない感覚に声も出なかった。
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