私立月見里学園高等部
B
どうやら先に部屋を見て回っていたらしい礼央先輩は、ぴょんぴょん跳ね回る龍之介の姿に腹を抱えて笑いながら、俺の肩を叩く。
「お前、本当何者なわけ?あんなアシュレー、幼稚舎のころから1回も見たことないぜー?」
ということはあの人は幼稚園のころからあの調子だったということか?
成長していないのか、はたまた大人びた?子供だったのか・・・。
「まあ、アレは面白いから放っておくとしてだな。このコテージは部屋が3つあるから2人で1部屋使うことになる」
未だ眦に涙を浮かべたまま、どうやらこういった集まりの纏め役が得意らしい礼央先輩は、このコテージの間取り表を広げ始める。
今ここにいるのがリビングで、他に同じくらいの大きさの部屋が3つ。
そして俺たちも学年が3つ。
「寝るだけだから学年ごとに部屋割りでいいよな?」
同じ意見らしい礼央先輩の言葉に頷けば、突然背後から抱きつかれ・・・いや、抱き締められて首元に吐息を感じる。
「っ!?」
「礼央先輩、俺はハニーと一緒じゃなきゃ眠れない」
いつも背中に智希を貼り付けているから肩の重みは慣れたものだが、今回の場合、完全に腕にすっぽり抱き締められている違和感は否めない。
どうしたものか・・・。
「全く・・・龍之介はこうと言い出したら聞かないからね。礼央先輩、ここは公平にくじ引きで決めませんか?」
「おー。俺は別に何でも構わないぞ」
そう言って笑う礼央先輩と、呆れ顔の那月先輩に、言いだしっぺの割りに我関せずで俺に頬を摺り寄せてくる龍之介・・・なんだかこの学園の生徒会の仕組みが垣間見えたような気がするな。
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