私立月見里学園高等部
A
この軽そうな先輩の名前は中西礼央(ナカニシレオ)さんと言って、本人曰くドイツ人のクォーターつまりおじいさんかおばあさんがドイツ人らしい。
そいえば相澤先輩もどこの国かは知らないが、確実に外国の血が混じってるよなぁ・・・。
グループの中にこんな顔の濃い人が2人もいるなんて、どんな確立だよ。
もう1人の3年の先輩は柏木さんと言って、ある意味濃いメンバーには変わりがない。
こう言ってはなんだが、那月先輩を見る目がねっとりしているのと、なんとなく仕草が気になる感じなのだ。
「んじゃあ自己紹介もすんだことだし、早速コテージに移動するかな」
と、さくさくと進める礼央先輩(と呼べと言われた)だが、正直俺に対する3年生2人の自己紹介だけで、他のメンバー同士はいいのだろうか?
「ああ、新名くんは既に色々と有名人だから柏木さんも知ってると思うよ?結城くんも1年生の中では人気があるしね」
と、俺の思考を読んだかのように那月先輩にすかさずそう言われ、笑顔を向けられた柏木先輩にこくこくと頷かれてしまえば反論が出来ない。
しかし、やっぱり那月先輩を見る目が怖いぞ・・・。
「・・・柏木さんは僕のファンらしくって。親衛隊の幹部も務めてるらしいんだ」
それに訝しげな顔をしていた俺に気付いたのだろうか、身長の変わらない那月先輩にこっそりそう耳打ちされるが、・・・ファン?親衛隊?
とにかく那月先輩のことが好きってことは確かだよな?
「僕ってこんななりじゃない?だからか知らないけど、昔から男の人に好かれることが多くって・・・この交流会中だって凄く不安なんだ。ね、だから新名くんにはずっと僕の傍にいて欲しいんだ」
んー行き過ぎた愛っていうやつか?よく分からないが。
でも、那月先輩ほど綺麗な人ならそこまで好かれるのも納得できるよな、まあいざとなれば1人や2人殴って退治してやることくらいできるし。
「分かりました」
そう言って早速柏木先輩の様子を伺う俺は、那月先輩がこっそり舌を出したことなんて気付きもしなかった。
「(龍之介には悪いけどね)」
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