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私立月見里学園高等部
出発の朝
 大慌てで着替えの準備をした俺達だったが、日が開けてみれば皆リゾートを意識した服装でバッチリきめていて、昨日あんなに騒いだのはなんだったのか。

俺も俺でタイミングよくかかってきた母さんからの電話で、持っていく服や着ていく服やらを指定されたので、かなりリゾート気分といった感じだが。

全く、あの人は服のこととなれば周りが見えなくなるんだよな。

「キャー!新名くん!超カッコいい!!どこかのモデルさんみたいー!!」

 ひとまず荷物を持って教室に集合ということで、ネボスケの黒崎を引っ張っていったのだが、席に着いた途端空に抱き付かれて、机に激突する。

ガツンという音に驚いたらしい黒崎がそれに連動するように、大きなサングラスに覆われた小さな顔を上げた。

「あ?」

まだ覚醒していないらしく、掠れた声に教室の端から歓声が上がるが、それに伊近の声が被さる。

「てめぇ、何似合わねぇもん掛けてんだよ」

という伊近の鼻の上にもよく似たそれが引っ掛かっていて、…お前ら趣味まで一緒かよ。

 黒崎は自前の”Lilly”ブランドで揃えてるし、同じく母さんに指定されたしい俺と対のような装いの伊近は全身”Lilly”だし。

自ブランドの宣伝かよ…という3人に笑ったのは智希だけだった。

本当、この2人のどちらとも同じグループじゃなくて助かったぜ。

「よーし、お前ら全員揃ったか〜?ってなんだ?伊近に黒崎は今日も仲良くお揃いだな」

「「何!?」」

 タイミングよく現れた加賀美に、俺が思ったことを指摘された2人はサングラスに覆われた顔で声を張り上げるが、それだけ息がぴったりなら文句も言えねぇぞ。

「とりあえず現地まではクラス単位で移動するからなー!バスの中まで揉めんじゃねーぞ!特にそこの2人」

何か言いたそうな2人をスルーして、更にからかうようにそう告げる加賀美に、クラスの一部は盛り上がるが、当の本人たちは面白くないようだった。


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あきゅろす。
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