闇払い光へ
その躯は、沢山の人と獣の骸が合わさって出来ている。
「愛殿!!」
「愛ちゃん!」
佐助と幸村は背後に現れたがしゃ髑髏に直ぐに距離を取り、大きなそれを睨み付けた。
「…っ!二人とも!わたしは大丈夫だから、自分の事に集中して!!」
「愛殿何をいっ」
「旦那ッ!!」
愛に気を取られた幸村の背後に飛び掛かって来た妖を佐助が片手で弾き落とす。
「旦那、愛ちゃんの言う通りだ。まず周りの小さいのを倒さなきゃ!」
「くっ…!しょうがない…さっさと倒すぞ佐助!!」
「言われなくても!」
再び自分の事に戻った二人を見て愛はホッとすると自分を握り締めているがしゃ髑髏を見上げた。
『憎い…』
『憎イ!』
『憎い憎イ憎イ…!』
苦しそうな声が幾つも愛の耳に届く。死して尚苦しんでいる亡者達の声だ。
愛は悲しそうにがしゃ髑髏を見て、微笑んだ。
「おいで、貴方達を解放してあげる」
そう言って伸ばした両腕ががしゃ髑髏の躯に触れると、小さな光の粒子が生まれた。
「闇に憑かれし憐れな魂よ、穢れを落として光に昇れ」
愛の瞳が金色に輝き両手から眩し過ぎる光が溢れ出しがしゃ髑髏を包み込んだ。
「何だ!?」
「愛、ちゃん…?」
突然の光に幸村も佐助も手を止めてしまう。我に返って、武器を構え直して前を見るが其処には只の骨が落ちているだけだった。
「ほらみんな、もう憎まなくて良いのよ…早く天に昇りなさい」
がらり、がしゃ髑髏の骨が一つ落ちた。そして丸い光の玉が愛の周りを回りだす。
がらりがらりと骨が地面に崩れ落ちていき愛の周りに舞う光の玉が増えていった。
「ほら、怖がらなくて良い…道があるから迷う事も無いでしょう?」
『麒麟様ありがとう』
愛が天を指すと細い光が愛に繋がるように降りてきた。
光の玉が一瞬少女の笑顔に変わり、上へと飛んで逝った。
それに続いて小さな玉や大きな玉、沢山の光が昇りだす。皆口々にお礼をのべて。
『ありがとう!』
『有り難うございます』
『麒麟様ありがとう』
『ありがとう麒麟様』
『お姉ちゃんありがとう』
最後の光の玉が昇り終わると光の筋は消え、愛の金色に輝いていた瞳も元の真紅に戻った。
そして浮いていた躯は重力に従い、落ちて────
どさっ
「っと!危ない危ない♪」
──それを佐助が見事に受け止めた。
「あ、佐助ありがとう!」
「どーいたしまして。愛ちゃん」
佐助はにっこり笑って愛を地面に降ろした。その横に幸村が駆け寄って来る。
「愛殿は祓い屋だったのでござるか!」
「んー…そんなところかなぁ?」
「え、違うの?…なんか色々と聞かなきゃいけないことが増えたなぁ」
「愛殿!某の城に来て下され!是非愛殿のお話が聞きたい故」
「はぁ!?旦那!何言っちゃってんの!?」
「愛殿は某達を助けてくれたではないか。あのまま戦い続けていたら体力が尽きて妖に喰われていたかもしれぬ!」
「あー…まぁ間者とかの類いは無いだろうけど…愛ちゃんは良いの?」
「わたしは大丈夫!寧ろ助かるよ?」
「では良いでござるな!行きましょうぞ!」
「うん!」
「あっちょっと置いてかないでー!」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
愛、いざ上田城へ!
それにしても飛龍は何処に。
暫く出ないと思います☆←
080203.
.
無料HPエムペ!
|