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出逢いは




躯を揺すられる感覚に、愛は手放していた意識を覚醒させた。



「飛龍…?」



意識を飛ばす前まで直ぐ傍に居た筈なのに、その姿は起き上がり周りを探しても居なかった。

変わりに、二人の見知らぬ青年が傍に座っていた。



「お気付きになられたか!」
「…だれ?」



見知らぬ相手に愛は躯を強張らせる。そして若干涙が滲んできた。



「ちょっと旦那、そんなに身を乗り出して迫らなくても良いでしょーが!この子泣きそうになってるよ!」
「う!?すまぬ!!」
「あーもう!旦那は下がっててよ!!」



愛に迫っていた(?)赤い鉢巻の男は後ろに居た迷彩柄の服の男に怒られ、しょんぼりしながら後ろに下がった。

じっと愛が迷彩柄の男を見ていると気付いた男は眉を下げて笑った。



「ごめんね、旦那大声なのに自重出来なくてさ」
「うぇ?あ、だ、大丈夫」
「あぁそんなに固まらなくて良いから。俺様猿飛佐助。んでこっちの人は…」
「真田幸村でござる!!」
「うん旦那、声の音量下げて。今真夜中だからね。…んで、アンタの名前は?」
「あ、名前は…愛」
「愛ちゃんか。じゃあ早速聞いちゃうけど…

なんでこんな林の中で倒れてたの?」



一瞬にして、佐助と名乗った男の目付きが鋭くなる。




「わたしは…」



愛が口を開いた、刹那。



『憎い、憎イ…』



人のモノにしては奇妙な声と共に獣の低い鳴き声が幾つも周りに聞こえた。

佐助と幸村は直ぐに己の武器に手を掛け、辺りを見渡した。

辺りには自分達を囲む様に黄色く光る目がこっちを見ていた。



「チッ…こんな時に会っちゃうとはね」
「これが最近騒がれている妖か…」

『憎い…憎イ!』
『お前ラも道連れだ!!』
『苦シメ!!』
『死ネ!!!!』



ガサリガサリと草むらからその躯を出した異形達は犬、猫、牛、人…といろんな形をしている。が、躯は皆崩れかけていてとても生きているモノには見えなかった。



「うっわ…」
「なんと、いう事だ…」



腐臭が漂い佐助と幸村は顔を顰めた。

ぞろぞろと出てきた異形達から愛を守る様にして挟み、二人は武器を構え直した。



「愛ちゃん、話は後で聞くからそこから動かないでね」
「某と佐助に任せて下され!」

『憎い…憎イ憎イ憎イ憎イィ!!!!』



飛び出してきた一匹を合図に、囲んでいた異形達は一斉に襲い掛かってきた。

佐助は最初の一匹を大型手裏剣で切り落とすと足元に来た小さなモノを蹴り飛ばす。
幸村はその反対側で襲い掛かってきた人型のモノを片方で突きもう片方で払う。

二人はどんどん倒していくが、切り倒したモノが集まってまた動き出してくる。どんなに切り刻んでも一向に減らないのだ。これでは体力が減るばかりだった。



「(弱いが、すぐ起き上がる!)」
「(オイオイオイ、ちょっとまずくなーい?)」



二人が内心焦りながら武器を振るっている時、愛は…。



「(この闇の者達の、核は何処…?)」



探していた。この、怨恨で集まり天へと昇れない者達をこの地上に、留めている“核”を。



「(何処かに居る筈なんだけど…)」



ぐるりと見回してもその姿は無かった。強い力を持つ核の姿は。

でもその力はずっと感じてるのに…そう思った、刹那。



ボコっ

「っ下!?」



愛の足を掴んだのは、地面から突如現れた骨の腕だった。

そのままその腕に続いて躯が出てくる。今迄のモノとは違いその躯はとても大きく愛の躯を片手に握り地面から這いずり出した。



「がしゃ髑髏…!」







‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
愛ちゃん、妖に捕まる。
それにしても飛龍は何処に…。

【がしゃ髑髏】
巨大な骸骨の姿をした妖怪。多くの人々の怨念が連なってがしゃ髑髏になるという。


090201.

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あきゅろす。
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