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おはようから行ってきますまで!(家族1)







目覚ましの鳴る5秒前に起床。
リリリ、目覚ましの欠伸を聞いてスイッチオフ。
川の字で眠っている家族を起こさないように自分の布団を畳み、制服に着替え、エプロンをつけて台所へ。
寝る前にセットしておいた炊飯器が、ご飯はちゃんと炊けているよ、と主張している。
あとは、簡単におかずを作るだけ。卵を大きなフライパンに四つ落として、白身が真白くなったら火を止める(ガス代の節約だ)。ただ一人を除いて皆、卵は半熟が好きなのだ。
フライ返しで卵を四等分。白身の大きさが違うと喧嘩が起こるので、綺麗に分ける。一つだけフライパンの上に残し、余熱で黄身まで火を通す。あとの三つは、それぞれのお皿へ旅立つ。
冷蔵庫から昨日多めに作っておいたじゃが芋と玉葱のお味噌汁を出し温める。余り物を出すと大抵は文句を言われるけれど、これは味が染み込んで旨味が増しているので大丈夫。
あとは、漬物桶から胡瓜を取り出して輪切りにするだけ。
目覚ましを一分後に設定する。テーブルを拭いて、皿とコップと、目玉焼きにかける醤油を並べ終えた頃にリリリと目覚ましが鳴る。
目覚ましが止まると同時に父と姉がひょこ、と顔を出した。
「お父さん、姉さん、おはようございます。」
挨拶を済ませ、三人で席につく。
「兄さんは?」
「まだ寝てるわよ。」
仕方のない兄だ。
「しょうがねえなあ、アポロは。」
「あら、このお味噌汁美味しいじゃない。」
「ほんとだ、うまいな!」
他愛の無い朝の会話。二人より先に食べ終え、食器をシンクに。今度はお弁当を作らないと。
やかんでお湯を沸かし、野菜を熱湯消毒する。こうしないとお腹を壊すのが一人いるのだ。お湯は流さないで鍋に溜めて、もう一度火にかける(水道代とガス代の節約だ)。そのお湯で卵を茹でる。
ミミを切り落とした食パンにレタスとトマトを挟む。もう一つ、今度はツナとマヨネーズを挟む。最後に、茹で上がった卵を潰して挟む。これを四つに分けて、三つはサランラップに包んで、その上から布巾で包んだ。一つは皿に乗せ、サランラップをかけておいた。その隣には朝ごはんを置いておく。すっかり火の通った目玉焼きに彼がかけるのは醤油ではなくソース。ソースの入った瓶をテーブルに並べた。
お弁当が出来上がった頃には、父は出かける用意が出来ていた。紫の布巾に包まれたサンドウィッチを渡すと「いつもありがとな。」と、お決まりの台詞を言われたので「サボらないで、ちゃんと働いて来て下さい。」と、お決まりの台詞で返した。
父を見送ると、今度は化粧をし終えた姉がやって来た。赤い布巾に包まれたサンドウィッチを渡すと、姉は結び目の隙間から中身を覗いて満足そうに笑った。「行ってらっしゃい」、そう言うと「おべんと、ありがと!」と元気な返事が聞こえた。
すっかり静かになった家で私は自分が出かける支度を始める。昨晩揃えた教科書をもう一度確かめ、緑の布巾に包まれたサンドウィッチを鞄に入れた。
散らばったままの父と姉の布団を畳み、部屋の隅へ。カーテンを開き、まだ夢の世界にいる兄を見やるとそれはもう気持ち良さそうに眠っていた。日の光を嫌がるかのように布団を被る。そんな兄の額に軽く口づけ、鞄を肩に掛け玄関へ向かう。
「行ってきます。」
返事が来る筈の無い部屋に向かって呟くと、眠たそうな声で「行ってらっしゃい。」と聞こえた。
私はもう一度、行ってきますを言って家を出た。




おはようから
行ってきますまで!








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家族パロディその1でした。
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20091003

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