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小説
ギフト文:神田怜李様よりA
またまた神田怜李様より小説を頂きました!
本当に有り難うございます(泣)

今度は、節子視点で、ホワイトデーverの蛙達のお話です☆
可愛すぎてニヤニヤし通しです!

では、下記からどうぞ!

* * * * *

「娘っこ!!」


後ろから声を掛けられ振り返ると、そこには赤蛙さんと緑蛙さんが少年の姿のまま立っていた。
赤蛙さんは仁王立ちで、緑蛙さんはウトウトしながらこちらを見ている。
察するに、声を掛けたのは赤蛙さんのほうだろう。


「何ですか?」


そう言って首を傾げれば、赤蛙さんがずんずんとこちらに向かって歩いてきた。
そして小さな箱を私に押し付けた。


「ん!!」
「…??」
「んっ!!」


どうして良いのかわからずに赤蛙さんを見ているともう一度押し付けられた。
持っていろ、ということなのだろうか。
その箱を受け取れば、赤蛙さんは脱兎のごとく私の傍から離れた。


「確かに渡したぞ!!」
「え?え??」


遠くから投げ捨てられた台詞に私の思考回路はぐちゃぐちゃになった。
目を何度も瞬いていると、緑蛙さんがポーっとした目でこちらを見てニコリと笑った。


「案ずるな。
ただのお礼じゃ。
何とかの日と言ってわしらに菓子をくれたじゃろ?
今日はそのお返しをする日じゃろ?」


そういうと緑蛙さんは私に小さな箱を渡した。
今更気が付いたのだが、赤蛙さんのくれた箱には赤いリボン。
緑蛙さんがくれた箱には緑のリボンが巻かれてあった。
それよりも気になったのは…


「ホワイトデーのこと知っていたんですか?」


そう。
お礼をする日というのは些か語弊があるが、大まかには当たっている。
つまり蛙たちはホワイトデーを知っていたということになる。


「ほわ、意図で?」
「ホワイトデーです。」
「何じゃそれは。菓子か?」


首をひねる緑蛙さん。
そんな姿に私も首をひねった。


「違います。
今日のことですよ。」
「知らぬ。
じゃが、黒狐から教わった。」
「そうなんですか。」
「確かに渡したぞ。」


そう言って私に背を向けた緑蛙に私は慌てて叫んだ。


「緑蛙さん!!
ありがとうございます!!
あと、赤蛙さんにも伝えてください!!」


緑蛙はこちらを見てコクリと頷くと再び背を向けて歩き出した。
一体何をくれたのだろうか。
少しだけ振ってみると、カタカタと音がした。


「開けてみようかな…」


ポツリ誰にともなくつぶやき、箱を縛るリボンへ手を伸ばそうとした時だった。


「娘。」


その声に振り返れば、黄蛙さんと青蛙さんが立っていた。


「探したぞ。一体お主はどこにいたんじゃ?」
「まったくじゃ。」


黄蛙さんと青蛙さんはブツブツ文句を言うとこちらに近づいてきた。

“ほれ”
そういうと黄蛙さんと青蛙さんは私にいい匂いのする袋を差し出した。


「え?」
「この前のお礼じゃ。」


そう言うと、二匹は去っていった。
いい匂いが鼻腔をくすぐる。
匂いからするとクッキーのようなものだろう。
袋をそっと開ければ、丸いクッキーのようなものが中に入っていた。
割れていたりするものもあり、黄蛙と青蛙がお菓子を苦戦しながら作ったのであろうことが容易に想像できた。
そんな歪な菓子さえも、うれしく感じてしまう。
袋から取り出し、ひとつ口に頬張れば、甘い香りと味が口いっぱいに広がった。


「美味しい…」


あとでどうやって作ったのか、聞いてみよう。
そう思い、顔を上げればいつの間にいたのか茶蛙さんと目が合った。


「あ、茶蛙さん!!」


そう呼びかければ、茶蛙さんは慌てて私に背を向け走り出した。


「え!?ちゃ、茶蛙さん!!」
「付いてくるな!!」


慌てて走り出す茶蛙さんを追いかければ、怒鳴られた。
だが、自分が知らずの内に茶蛙さんに嫌な思いをさせていたのかもしれないと思い、私は必死に茶蛙さんを追いかけた。

でしっ

服の裾を踏んで、茶蛙さんが前方で派手に転んだ。
慌てて駆け寄れば、茶蛙さんは慌てて回りを探していた。
コツ、と足元に何かが当たり、私はそれを拾い上げる。
翡翠色の丸い形の石。


「綺麗…」
「返せ!!」


透き通るような翡翠色の石を見てつぶやけば、茶蛙さんが慌てて私の元に駆け寄ってきた。


「あ、はい。
綺麗な石ですね。」
「勾玉じゃ。」


素直に返せば、茶蛙は私の手から取り上げた石を見つめつぶやいた。
言われてみればそのような形にも見えなくもないが、ほぼ円形。
どう見ても私の知っている勾玉には程遠かった。


「ま、まだ作りかけなんじゃ!!」


それだけ言うと、茶蛙さんは走り去ってしまった。

とても大事な物だったのだろう。

私はそう思うとその場に座り込んだ。
もしかしたら茶蛙さんを傷つけたかもしれない。
そう思っていた時、茶蛙さんがこちらに戻ってきた。


「わ、わしは!!
赤蛙や緑蛙のように要領よくない。」
「え?」


突然言われた意味が解らなくて、私は茶蛙さんを見つめた。


「それに、青蛙や黄蛙のように料理もできん。」
「はぁ…」
「それに不器用じゃ。」
「……。」
「おぬしにお礼をと思い、勾玉を作った。
じゃが、うまくできん。」
「……。」


必死に言う茶蛙さんに私は何も言えなくなった。


「いらぬのなら、返してくれて構わん。」


それだけ言うと、茶蛙さんは私の手のひらにあの翡翠色した勾玉(らしきもの)を置いた。


「いらないなんていいません。
だって、作ってくれたものなんでしょう?
形なんていろいろあって良いじゃないですか。
茶蛙さん、ありがとう。」


今にも泣きそうな顔をしていた茶蛙さんに微笑めば、茶蛙さんは一瞬うれしそうな顔をして
だけど、すぐに照れた顔を隠して走りさった。


「捨てても構わんからな!!」


表情が解らないほど離れて茶蛙さんは私にそう叫んだ。
だから、私も大きい声で、見えるかどうかわからないけど、笑顔で頷いた。


「絶対捨てません!!」







END

* * * * *

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