はなし 真剣な表情をし、私を見つめ そのまま目を逸らさずに、言う。 「お前は、誰にでも優しくて、誰からでも好かれていて、みんなの中心で幸せそうに笑っている奴だった」 …言い終わった直後、シャマルは目を逸らして顔を赤くし、顎をぽりぽりとかく。 そして、くさい台詞だったか、と呟く。 なんだかこの光景は和むな…、とかのん気に考えながら、シャマルの方を向き 「……ありがとう、教えてくれて」 お礼を言う。 だって、こんな暖かい人と一緒に過ごして、 こんな優しい人と一緒に和めて、 私は本当に幸せだったんだなと、シャマルを見てそう感じるから。 「……まぁ、なんていうかさ、はやく思い出してやれよ。あいつのこと。辛いことも、あるかもしれないけどさ」 「うん、…分かってる」 そっちの方が、幸せだということ。 記憶のないまま接したって、意味は無い。 誰も、幸せにはなれない。 …でも、少しだけこのままでたい。 記憶の無い、一時の安息を…と、 そう少しでも、思ってしまった私はきっと、───……。 これは、私が何かを思い出しかけたときの、小さなはなし。 ←→ |