光と闇 一面のやみ、ヤミ、闇─────…。 深い奥底の意識の中、私は周りの闇に気付く。 周りを見渡すとその中に、人が立っていた。 (──…誰?) 闇がだんだんと薄くなっていき、見えたのは、“私ト同ジ顔”の人──…。 「!!」 「はじめまして」 私の姿をした人が、言葉を発する。 ──誰に? 辺りを見回してみるが、誰もいない。誰も見えない。 「“もう一人の私”、あなたに言っているのよ」 そう言い、“私”はくすくすと笑う。 (同じ容姿なのに、なんだか大人っぽいな…) 「あ、えっと、…あなた誰ですか?」 「言ったじゃない、もう一人の“私”に話しかけてるって…」 挑発しているかのような声で、返事をする。妙に色気があって、怖い。 「どういうこと…?」 いまいち理解できない。…私は苦手なんだよ、こういうの。 「言い方をかえると、あなたが“光”で私が“闇”ってことね」 余計意味の分からないことを言う。 そして、“私”は言葉を続ける。 「…はやく思い出してあげて。あの人の悲しみは大きい」 闇だからこそ、人一倍分かる感情。 「え、だからどういう───…」 そこで、私の意識は現実の世界へと戻っていった。 肝心なことを聞けないまま───… ←→ |