[携帯モード] [URL送信]
問い


「紫穂って誰?あなたは誰?私はなんで、ここにいるの?」


「!」





そう言った途端、男の子の顔は悲しみに満ちた色に染まった。



先程の喜びはもう、無いみたいだ。





必死に震える口を動かし、言葉をつむぎだす。






「…君の名前は、雨月紫穂、俺の名前は沢田綱吉、…ここにいる理由は、多分、シャマルが教えてくれるから…。」





辛そうな顔だけど親切に、一つ一つゆっくり教えてくれる。






「雨月紫穂…、沢田綱吉…、シャマル…。」






彼、沢田綱吉の言ったことを、ゆっくりと復唱する。



「…うん、そうだよ」






──ねぇ、なんで沢田綱吉は辛そうな顔をしているの?





なんで…そんな泣きそうな顔をしているの?






(あ…)




──そっ…

彼の頬に、無意識にそえられた私の手。

出てきた涙を拭う。


「──っ!あっ、そのっ、ごめんっ!!」






──ばんっ







突然立ち上がり、走って部屋から出て行った沢田綱吉。



──…泣いたり赤くなったり、忙しい人…。







でも、何故だか、沢田綱吉を見ると安心する…。



「なんなんだろう…この気持ち、」







そう、静かにつぶやいた言葉は、誰にも聞かれること泣く消えていった────……。


(何も分からない彼女と)

(全てを知っている彼)







3/14ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!