問い
「紫穂って誰?あなたは誰?私はなんで、ここにいるの?」
「!」
そう言った途端、男の子の顔は悲しみに満ちた色に染まった。
先程の喜びはもう、無いみたいだ。
必死に震える口を動かし、言葉をつむぎだす。
「…君の名前は、雨月紫穂、俺の名前は沢田綱吉、…ここにいる理由は、多分、シャマルが教えてくれるから…。」
辛そうな顔だけど親切に、一つ一つゆっくり教えてくれる。
「雨月紫穂…、沢田綱吉…、シャマル…。」
彼、沢田綱吉の言ったことを、ゆっくりと復唱する。
「…うん、そうだよ」
──ねぇ、なんで沢田綱吉は辛そうな顔をしているの?
なんで…そんな泣きそうな顔をしているの?
(あ…)
──そっ…
彼の頬に、無意識にそえられた私の手。
出てきた涙を拭う。
「──っ!あっ、そのっ、ごめんっ!!」
──ばんっ
突然立ち上がり、走って部屋から出て行った沢田綱吉。
──…泣いたり赤くなったり、忙しい人…。
でも、何故だか、沢田綱吉を見ると安心する…。
「なんなんだろう…この気持ち、」
そう、静かにつぶやいた言葉は、誰にも聞かれること泣く消えていった────……。
問い
(何も分からない彼女と)
(全てを知っている彼)
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