─Bad End Namimori Side 「紫穂…、起きてよ…、いつまで寝てるの…?」 ベッドに顔をうずめ、泣きじゃくる。そして手を握る、強く強く。 …毎日来て、何回も何回も呼び掛けるが、一回も返事はこない。約2週間眠り続けている。 心拍数はまだ微かにあるが、意識不明、足腰骨折。 何かのキセキでもし意識を取り戻したとしても、元の生活には戻れないと、医者は、シャマルは言う。 「なあ、…いい加減目を覚ませよ…」 悲痛の叫び。そんなもの、彼女には届かない。 目にも入らない。 それならきっと、…彼女のココロにも。 「…ツナ、」「十代目…」 後にいた、山本武と獄寺隼人が、ついに見ていれなくなったようで彼の名前を、沢田綱吉の名を呼ぶ。 顔を、辛そうに歪めている。 「……分かってはいるよ…山本、獄寺君。そろそろ心を決めなきゃいけない。紫穂の、…誰かが死ぬ事の覚悟、」 ―ボンゴレは、マフィアの世界はおめえが思ってるほど甘ぇものじゃねえんだ― 家庭教師の、リボーンの言葉が頭をよぎる。 ボスとなる俺が、皆を引っ張っていくのに。 …深呼吸をする。 新しい空気を入れ替えるように、新しい心と入れ替えるように。 「今までありがとう………またね」 顔をあげ、酸素を取り入れるために着けているマスクをよけ、彼女の頬に軽くキスをする。 …身体を起こし、下に置いてあったバッグを持ち、後を向く。 「ごめん、もう大丈夫だ。行こうか…」 「おう」「はい」 こつこつと足音をたてて部屋を、三人が出て行く。 ……そしてまた、静寂が部屋を包む。 つう、 最後に彼女の頬から流れ落ちたのは、何…? ←→ |