染み ――笹川京子 久しぶり、紫穂ちゃん。お見舞い、行けなくてごめんね。シャマルっていう保健室の先生に止められてたの…。でも、これからはいいって言われたの!だから、今日ツナ君達と一緒に、来るね!それじゃあ、またあとでね!―― ――三浦ハル こんにちは、紫穂ちゃん!最近、ハルは紫穂ちゃんに会えなくてとても寂しかったです! はやく元気になって下さいね。ずっと待ってますから!―― …手が、少し震えている。そして、ココロが少し暖かい気がする。 …でも、どうしてなのか、理由がわからない。 別で置いてあった紙を、さっきの紙達で埋もれたベッドから取り出す。 ――雲雀恭弥 病院の手配はしておいたよ。だから、早く退院していつもみたいに応接室に来なよ―― ポタッ――… 頬から温かいモノが流れ落ち、紙に染みを作る―――…。 その染みを拭こうと思い、手をかざす――。 「……」 水のあとがあるのに、気づく。 …さっきの染みを見る。 もう、既に乾いていた。 二つの染みを比べると、同じ――…。 嗚呼、この人も、私も、泣いているんだ。 …でも、どうして?どうして泣いているの? …わからない。自分のことさえも。 ――他の紙を見、染みを探してみる。(ただの思い過ごしでもいいから、――…) 「あっ、た…」 同じ、そこだけ色が変色し別の感じに乾いているている場所。 六枚の紙、すべてにある。 …涙は、まだ止まらない。 ――…自分の存在に気付くまで、あといくつ? ←→ |