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チョコレート味でした。(主完)


「…先輩、近いっス」

「うん、完二って色白いよね」

眉を隠すように切り揃えられた前髪から覗く色素の薄い双眼が、鼻のピアスから額の傷にかけてをじっと見つめる。
そんな目の動きを追いつつやんわりと先輩の肩を押し返した。

「…女に言ってやって下さいよ」
「良いじゃないか。たまに会うんだし」
「たまってなんスか!毎日会ってますよ」

それでもまだ痛い程見つめてくる視線に耐えつつ、ホームランバーをかじった。
ミルクの柔らかい甘さが美味い。

「だってほら、アイスと変わんないくらい白いし。肌白いし髪も白いよなー白金?」
「…男が白くても得なんざねぇスよ」
「モテないか?」
「いやもう、全ッ然、ですかね」

はあぁ、と溜息を吐き出してまた一口かじり空を見る。どこかに趣味や外見を気にしなくて、俺みたいな奴を好きになってくれる絶世の美女が待っているのだろうか。
世界は広い…誰かにそう言われたけど。

自分のテレビの中での惨劇を教えてもらってから、それを見た奴らが学校や道端に居るのかと余計な事まで考えてしまう。

「テレビの件、見た奴居るんスよね」
「…?まあ、幾らかは居ただろうね」
「う、運命の相手…とか…言われてたり」
「あー、まあ、アレで引かなきゃね」

「……無理、っスよね……」

自分ですら胸糞悪かったのに。
迷信を信じるより先に生理的に受け付けないだろうあの様を思い出す。
将来嫁になるかもしれない女子はおろかダチになれる男子すら逃した気がする。


「俺はどっちの完二も好きだけどね」


カップアイスをぐちゃぐちゃに溶かして弄んでいた先輩が『あーん』をしながら呟いた言葉は、俺の顔に一気に熱を集めた。

「なッ…そ、そそのネタやめろって言ってんだろうがゴルァァァ!!シメっぞ!」
「いやネタじゃないから。はい、あーん」

真っ赤になったまま動かない俺の口に、先輩がスプーンを押し付ける。冷たくなくなったチョコアイスがだらりと垂れて危うくタンクトップが汚れる所だった。


「ネタじゃ、ないからね」
「や、ちょ……はぁ?えぇ?」


チョコアイスまみれでべたつく顎を拭いながら、未だ回復しない頭をフル回転させて笑う所を探した。だが無情にも目の前の灰色の髪が揺れて、



「好きだよ完二」



柔らかさとべたつきがごったになって温かく唇を覆った。





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バカップル誕生。


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